もらってうれしい初任給。ところで給与には「額面金額」と「手取り額」があることはご存じですか?
一般的な会社員であれば、毎月の給与から税金と社会保険料が天引きされ、給与明細に記されている額面金額より手取り額の方が少なくなります。

今回は、給与の額面金額と手取り額にはどれくらい差があるのか、給与から引かれるお金にはどのようなものがあるのかについて解説します。

また、ファイナンシャルプランナーの視点からおすすめする初任給の使い道などについても触れますのでどうぞ最後までお読みください。

初任給の平均手取り額はいくら?

まずは初任給の平均手取り額からみていきましょう。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(令和3年)」によると、新規学卒者の学歴別賃金は、下記の通りです。

【表】

これらは額面金額で、初任給からは所得税と雇用保険料が天引きされます。例えば大卒の平均賃金から所得税と雇用保険が天引きされた手取り額は、下記の通りです。

【表】(表の大学卒の数値から計算)

※所得税は、国税庁「給与所得の源泉徴収税額表」に基づき扶養親族無しで試算

※雇用保険は、一律額面金額の0.5%として試算

この表から分かるように、大卒者の初任給手取り額の平均は20万円台となっています。

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初任給から引かれるお金って何?


給与支給明細表
【画像出典元】「stock.adobe.com/Rummy & Rummy」

額面給与と手取りの違い

一般的に毎月の給与から天引きされるお金には以下のようなものがあります。

●税金
・所得税
・住民税

●社会保険料
・健康保険料
・厚生年金料
・雇用保険料

額面金額の20%程度が税金と社会保険料として天引きされ、手取り額は額面金額のおよそ80%となります。

しかし社会人1年目については、上記全てのお金が引かれるわけではありません。

初任給から引かれるお金

初任給から引かれるお金は、2項目のみです。

・所得税
・雇用保険料

所得税の金額は、額面金額が22万円とすれば5480円、25万円であれば6530円、30万円であれば8420円、と金額に応じて国税庁が定めている税額となります。

雇用保険は、料率が額面金額の0.5%となっており、22万円で1100円、25万円で1250円、30万円で1500円となります。

初任給よりも翌月の方が手取り額が減る

就職して1カ月目(一般的には4月)にもらう初任給から引かれるお金は前述の2項目だけでしたが、2カ月目(一般的には5月)からは2項目増え、下記の4項目となります。

・所得税
・雇用保険料
・健康保険料
・厚生年金保険料

この健康保険と厚生年金の保険料も額面金額により決められていて、1年に1度保険料の見直しがあります。

この保険料のことを社会保険料といい、本人が全額負担するわけではなく、半分を会社が負担してくれています。(このことを労使折半といいます)

例えば東京の中小企業にお勤めの場合(協会けんぽ加入)、額面金額22万円の健康保険料は2万2000円、厚生年金保険料は4万260円と決められていて、この金額を労使折半します。
よって本人の負担額は、健康保険料1万1000円、厚生年金保険料は2万130円です。

※参照/令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表

半額を会社が負担してくれているとはいえ、それでも月に約3万円も負担しなければならないのは大きいですよね。これら社会保険料の天引きを考慮した大卒の平均手取り額は以下のようになります。

【表】(表の数値から計算)

初任給の平均手取り額は20万円台と紹介しましたが、2カ月目からの手取り額は17万円台にまで下がります。2カ月目の給与手取り額が初任給より減るのはこれが理由です。

入社2年目からはさらに手取り額が減る

先に紹介した天引きされる項目の中で、まだ引かれていない項目があります。それが住民税です。住民税は前年(1~12月)の所得により決まるので、新社会人1年目では引かれず、入社2年目の6月から引かれるようになります。

住民税の税率は前年の課税所得の10%なので、前述の表の給与が1年続いた場合に、翌年の住民税は概ね5400円/月となります。よって2年目からの手取り額は、およそ17万2000円となり1年目よりさらに下がります。(昇給がなかった場合の金額です)

※税金の計算に当たっては、給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除のみ考慮しています。生命保険や地震保険、ふるさと納税などの所得控除は加味していません