ハンドベインの正しい情報を知ることが適切な治療につながる



――佟先生がこれまでハンドベインの治療をしてきた中で感じた、お客様の変化を教えてください。

佟先生 遠方から飛行機とタクシーを使って来院された20代のお客さんがいらっしゃいます。その方は足が不自由で車椅子の生活を送っており、カウンセリングのときに「私には足はもうないので、手をきれいにしたいんです」とおっしゃいました。その言葉を聞いたときには思わず泣きそうになってしまいましたね。治療後に喜びの声をいただいたときには、この仕事をしていてよかったと改めて実感しました。

また、京都で治療をおこなっていた時期には、土地柄、着物のモデルさんが多く来院されていました。着物は露出する部分が顔と手だけなので、ハンドベインがあると目立ってしまうらしいんです。僕が治療をおこなった着物のモデルさんのうちの1人は、以前着物の全国大会でベスト3に入賞した50代の方でした。そのお客さんにはレーザー治療をおこなったため、翌年の大会はダウンタイムのために出場できませんでした。でも、翌々年の大会では見事、優勝したそうなんです。その報告を聞いたときには、僕までうれしくなりました。

――気になっていたハンドベインを改善することで、自信が生まれるんですね。

佟先生 その通りだと思います。例えばネイリストのお客さんは、以前はインスタグラムでご自身のネイルを紹介するときに、手の甲が見えないような角度で撮影した写真を載せていたんですね。でも、ハンドメインの治療後は、手の甲まで全部写した写真を載せるようになりました。

――たくさんの有意義なお話を聞かせていただいたのですが、最後に改めて、「ウーマンカレンダー」の読者にお言葉をお願いします。

佟先生 僕がこれまで治療をしたお客さんの中には、ハンドベインの不確かな情報に振り回されたり、不適切な治療を受けてひどい状態になってしまった方もいらっしゃいます。ハンドベインで悩んでいる方には、ぜひ、正しい情報を知っていただけるようにと願っています。

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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

取材・文/熊谷あづさ(50歳)
ライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。

著者/監修/佟 暁寧 先生
とう ぎょうねい。大阪静脈瘤クリニック院長。2010年9月清華大学第一附属病院心臓血管外科医員、2011年9月清華大学大学院心臓血管外科専攻博士課程、2018年4月大阪大学医学部附属病院心臓血管外科などを経て2019年4月伏見静脈瘤クリニック入職。2021年7月現クリニック入職。下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医。Instagram:@zetith.tong