「食後に眠気やだるさを感じる」「疲れやすい、疲れが取れない」「胃腸が弱ってきた」といった人は、摂取エネルギー過多の可能性があります。消化器が疲れると栄養素を吸収できなくなり、老化が進みます。また、肝臓の解毒機能が低下して体が疲れやすくなります。そこで、消化器に休息の時間を与えるための「プチ断食」のやり方をご紹介しましょう。【解説】石原新菜(イシハラクリニック副院長)

解説者のプロフィール

石原新菜(いしはら・にいな)

イシハラクリニック副院長。医学生のころから、メキシコのゲルソン病院、ミュンヘン市民病院の自然療法科、イギリスのブリストル・キャンサー・ヘルプセンターなどを視察し、自然医学の基礎を養う。2006年に帝京大学医学部を卒業。大学病院での研修を経て、イシハラクリニックにて漢方薬処方を中心とする診療を行う。現在、クリニックでの診察をはじめ、テレビ、雑誌などで活躍。著書多数。

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生活習慣病の多くは食べ過ぎが関係している

「空腹は体にいい」「朝食を抜くと全身が若返る」──。そんな話をすると「3食ちゃんと食べないと体に悪いのでは?」と思う人がいるかもしれません。

でも実際、私のクリニックでは、食事の量や回数を減らすことで体調が改善した患者さんがたくさんいます。

私自身、朝食と昼食をとらない生活を10年以上続けています。それでも毎日、仕事と家事・育児をこなし、5kmのジョギングも欠かさないほど元気。もちろん快眠・快便です。

肥満や糖尿病、高血圧、動脈硬化など、現代人の生活習慣病の多くは、食べ過ぎが関係しています。

「食後に眠気やだるさを感じる」「疲れやすい、疲れが取れない」「胃腸が弱ってきた」といった人は、摂取エネルギー過多の可能性があります。文明の利器に囲まれ、運動量の少ない現代人にとって、そもそも1日3食は多いのです。

摂取エネルギーの問題を解決するために、食事の量を減らしたり低カロリー食品をとったりという考え方もあるでしょう。

しかし、いくら低エネルギーであっても、朝昼晩と食事をとっていたら、消化器は休む暇がありません。

消化器が疲れると、食べ物から栄養素を吸収できなくなり、老化が進みます。また、肝臓の解毒機能が低下して老廃物が体内に残り、体が疲れやすくなります。朝食を抜けば、胃や腸、肝臓といった消化器に休息の時間を与えることができます。

私が実践し、患者さんにも勧めている「プチ断食(朝食抜き)」のやり方をご紹介しましょう。

朝食は毎日、しぼりたてのニンジンリンゴジュースだけです。食物繊維も優秀な栄養素ですが、朝は消化器に負担をかけないことを最優先し、ジューサーで繊維質を取り除いた、サラサラのジュースを飲みます。

ジュースを作るのが大変なら市販の野菜ジュースでもかまいませんし、ショウガ紅茶やココア、具なしのみそ汁でもOK。ポイントは「消化器を働かせない」ことです。

昼食は、低脂肪で消化のよいソバなどがいいでしょう。私も以前はお昼にソバを食べていましたが、午後の眠気がひどいため、今は昼食も抜いています。昼食は、各自のライフスタイルや体調に合わせてください。

夕食は、基本的に何を食べてもけっこうですが、ゆっくりよく噛んで、腹八分目にすることが大事。和食は、自然と低脂肪でバランスのとれた献立になるのでお勧めです。

我が家では、モズクと納豆、みそ汁は必ず食べるようにして、魚と野菜を中心とした主菜と、玄米ご飯。鶏肉や卵を焼くこともあります。できれば、午後8時までに食べ終わるようにしましょう。