高齢化に伴い下着も進化し、機能的なブラが次々と開発されています。そげ胸、垂れ胸、わきのハミ肉といったような、加齢に伴うお悩みは、それぞれに対応した商品を選ぶことで、ほぼ解決できるはずです。「ブラを着けないほうが楽なのでは?」というと案外そうではなく、体軸とバストに一体感が生まれ、より活発に動きやすくなるのです。【解説】福岡智亜紀(株式会社ワコール 宣伝部 東京宣伝課)

トップの位置を上げると若々しい印象になる!

女性の皆さん、加齢によるバストのお悩みはありませんか?

私たちワコールは、主に女性用の下着を製造・販売する企業です。モノづくりを科学の視点から追求する「ワコール人間科学研究開発センター」を1964年に設立。以来、毎年1000人近くの女性の体のデータを計測し、その人数は延べ4万5000人超に上ります。

今回はそれらのデータから読み取れる、加齢によるバストの変化と、見た目が若々しくなるブラジャー選びについて、アドバイスさせていただきます。

加齢による変化の進みぐあいは人それぞれですが、アンダーバスト、腹部、ウエストの周径は、40代くらいまで右肩上がりに増えていくのが一般的です。

けれどもバストは、年齢とともに弾力を失って下垂し、上胸の肉がそげてトップが下がったり、左右に広がったりと、サイズよりも形の変化が顕著です。これがシルエットに現れると、実年齢よりも老けて見えます。

下の写真をご覧ください。これは、胸もと年齢を若く見せることができるかどうか、シルエットを比較した実験です。同じ日に同じ人物を、ブラだけ替えて、当社で撮影しました。

左:普通のブラを着けたところ
右:ブラを替えただけで若見え!

左の写真は、普通のブラを着用。バストが下垂ぎみで、トップの位置が下がっています。

それに比べ、バストトップを高くし、上胸のボリュームをふっくらとメイクするブラを着けた右の写真では、全体の印象が変わります。ブラを替えるだけで、まるで時間を巻き戻したかのように若々しい感じを与えることができるのです。

そげ胸や垂れ胸以外で、中高年女性に比較的多いお悩みが、わきの肉がブラからはみ出す、いわゆる「ハミ肉」です。加齢により脂肪がやわらかくなり、ゴムやワイヤーが肌に食い込みやすくなって起こります。背中にできる段差も同様です。

たるんだ肉がシルエットに現れると老け込んで見えるだけでなく、当然、着け心地にも影響します。締めつけ感が生じることもあるでしょう。

こうした事態を避けるためには、きちんとサイズを計測し、ご自分に合ったブラを着けることです。

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自分で採寸するときはブラを着けた状態で測る

サイズを知るために必要な採寸箇所は、トップとアンダー。ただ、独りで正しく測るのは難しいため、お店で測ってもらうのが望ましいでしょう。その際店員さんに、今の下着に感じている不満を伝え、ブラを選んでもらってください。

○わきのハミ肉や背中の段差が気になる
➡ブラのサイドが幅広で、上辺のゴムテープが入っていないタイプを選ぶ

○上胸がそげてブラとの間にすきまができるトップが下がる
➡ブラと胸の下辺を合わせてきちんとフィットさせ、バストを収める。
 パッドを入れるのではなくリフティングシートで下から持ち上げる

リフティングシートつきのブラ

○肩がこる、肩ひもが落ちやすい
➡伸縮性のある素材で、肩ひもが幅広のタイプを選ぶ

○締めつけ感で胸が苦しい、息苦しい
➡ワイヤーなしで前中心が伸びるタイプを選ぶ

○ワイヤーが痛い、不快に感じる
➡ワイヤーなしか、ワイヤーが外づけで肌に当たらないタイプを選ぶ

○後ろホックに手が回らない、ホックが痛い
➡ホックがなく上からかぶる、下からはく、または前ホックのタイプを選ぶ

○肌がかゆい、チクチクする
➡肌側綿混素材やシルクプロテイン加工など肌当たりがやさしいタイプを選ぶ

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こんな悩みはブラで解決!

高齢化に伴い下着も進化し、機能的なブラが次々と開発されています。上で挙げたような加齢に伴うお悩みは、それぞれに対応した商品を選ぶことで、ほぼ解決できるはずです。

もしご自身で採寸するなら、特に高齢のかたは、ヌードではなく、ブラを着けた状態で測ることをお勧めします。というのも、バストが下垂している場合は、持ち上げないとアンダーが正確に測れないからです。

測る際は、お手持ちのなかで最もフィットするブラの下辺をバストのつけ根に、きちんと合わせます。やわらかい脂肪は、むしろ動かしやすいのが強み。せっかくブラを新調するなら、ハミ肉を寄せて上げて、形を整えてから計測しましょう。

ひと昔前はファッションの影響もあり、しっかりカバーする補正下着がはやりましたが、今の時代はナチュラル志向。スタイルがキープでき、かつ、肌当たりがよくて、着け心地が楽な商品が好まれます。

「ブラを着けないほうが楽なのでは?」というと案外そうではなく、バストが上下左右に揺れかえってじゃまになります。着けたほうが、体軸とバストに一体感が生まれ、より活発に動きやすくなるのです。「背中が支えられて気持ちがシャキッとする」と感じるかたもいます。

きちんとフィットしたブラを着けることは見た目だけでなく気持ちや身のこなしまで、若返らせてくれるかもしれません。

この記事は『壮快』2022年11月号に掲載されています。

画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b612666.html