ビールフェスも開催!多彩なベルギービールの種類や特徴を学ぼう

ドイツが本場のオクトーバーフェストの人気は根強いが、ベルギービールのフェスも熱狂的な支持を集めているのをご存知だろうか。
今年は会場を変えながら「ベルギービールウィークエンド」というベルギービールの祭典が年間を通して日本各地で開催される。


え?ビールと言えばドイツじゃないの?ベルギー?

そんな声が聞こえてきたので、ビールを専門にエッセイを書くビアエッセイストがベルギービールの種類や特徴について語る。
キーワードは「多様性」!である。

フランスに負けない美食で知られる欧州の小国。


その前に、そもそもベルギーってどんな国だっけ?というところから始めたい。

ベルギーは西ヨーロッパに位置する小国で東はドイツ、西はフランスと国境を接している。面積は九州より少し小さいくらいで、人口は約1,100万人。公用語はオランダ語、フランス語、ドイツ語の3つで、北部のフランダース地方ではオランダ語、南部のワロン地方ではフランス語が主に使われる。

ベルギーはお隣のフランスにも負けないほどの美食の国と言われ、ビールをはじめ、チョコレートやワッフルなどが特に有名だ。高級ショコラの先駆的ブランド「GODIVA」もベルギー発。首都はブリュッセルでEUの本部がある。ヨーロッパの中心にあり、小国であることが選ばれた理由だが、実はこれがベルギービール躍進のきっかけとなった。

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ベルギービールを一言で表現すると「多様性」。


ベルギーでは昔から、現在ブームとなっているクラフトビールのようなこだわりのある、職人気質のビール造りが全土で行われていた。しかし国内消費だけに目が向けられていたため、あまり世界に知られていなかったのだ。それが第二次大戦後、EC(後のEU)の本部が置かれたことでまずはヨーロッパ中のお偉方が「ベルギーには美味しいビールがあるぞ」という事実をこっそり知ることになる。

その後、ベルギービールは、マイケル・ジャクソンというイギリス出身のジャーナリストによって「ベルギーの地ビールは凄いぞ!」と紹介されて世界に広く知られることとなった。ちなみに、マイケル・ジャクソン氏は同名の「KING OF POP」の異名をもじって「KING OF HOP」と呼ばれたほか、自身でも「どうも、私は踊れない方のマイケル・ジャクソンです」と自己紹介していたそうである。

それはさておき、ベルギービールの特徴は「多様」の一言に尽きる。お隣のドイツがビール純粋令という法律で「ビールは大麦、ホップ、水で造るべし」と厳格にルールを定めた(一部貴族や富裕層、国営ブルワリーなどは小麦を使ったビール造りも認められた)のに対してベルギーは自由。フルーツやスパイスなどの副原料入りのものもあれば、木樽で熟成させるもの、空中に浮遊している野生の酵母で発酵させる酸っぱいもの、修道院で修道士が造る濃いものなどなど個性的なビールばかり。もちろん、色も多様だ。次の項で細かく見ていきたい。