主なベルギービールの種類を挙げてみる。
先に言っておくと、ベルギービールは醸造所ごとに異なるビール造りをしているため分類はできない、という見方もある。とは言え、共通認識されている種類もあるので、そこに絞って解説してみたい。
●ベルジャンホワイト
ビールは大麦が主原料のお酒だが、これは大麦に加えて小麦も使う。たんぱく質が多いことから白濁しており、泡持ちもいい。慣例的にオレンジピールとコリアンダーシードを副原料に用いるため、爽やかさとスパイシーさもある。苦みが弱く軽やかなので1杯目にもおすすめ!ヒューガルデンというビールを耳にしたことがある方もいるかもしれないが、このベルジャンホワイトの代表銘柄である。
●フルーツビール
自由がウリのベルギービールの真骨頂とも言えるのがフルーツを副原料に使用したビール。代表的なさくらんぼや木苺をはじめ、りんごや桃、カシス、バナナなどさまざまなフルーツが投入されている。色も鮮やかで目にも美味しい。アルコール度数も低めなので、ビールが苦手という方におすすめだ。
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●ランビック
麦芽、ホップ、水を主原料とするビールだが、もう一つ、酵母も大事な原料だ。通常、ビールの酵母は純粋培養された下面発酵酵母(ラガー)と上面発酵酵母(エール)を用いるが、これは野生酵母を使う。乳酸菌なども混入するので酸っぱい味わいに仕上がるが、それこそが個性。酸味の強いビールという新体験をぜひしていただきたい。
●セゾン
ベルギー南部のワロン地方発祥。農家が農閑期に仕込んで夏の作業中に飲む自家製ビールをルーツとしている。内容は農家ごとに異なるが、ビールが傷まないよう防腐効果のあるホップを多めに入れたなど、ある程度の共通項もある。現在は、それらの中から残った「セゾン酵母」を使ったビールがセゾンスタイルと言われる。
●フランダースレッドエール
西フランダース地方特産の赤いエールビールで、その赤さは赤大麦由来とされる。発酵後にオークの樽で長期間熟成されるのが一番の特徴。木樽内の乳酸菌やタンニン、カラメルなどの影響で複雑な味わいに仕上がっているが、ランビック同様、こちらも基本的には酸っぱい。
●ゴールデンエール
個人的にベルギービールにハマるきっかけとなった金色のビール。見た目は普通のビールなのにフルーティーでアルコール度数が8%以上あったりする。デュベル(悪魔)、サタン、ギロチンなどなぜかおどろおどろしい名前の商品が多い。
●修道院ビール
歴史を感じさせるビール。修道士が造っているなど特定の条件を満たしたものは特別に「トラピストビール」と名乗ることができる一方、満たさないものは「アビービール」と言われる。どちらも修道院ビールと言って問題ないだろう。色々な種類があるが、エール酵母でアルコール度数が高くて濃いビールが一般的。
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さあ、奥深きベルギービールの世界へ。
ベルギービールはグラスやコースター、栓抜きなどアイテムも多様で大人の趣味としても人気が高い。かく言う私も各種グッズを集めている。
ベルギービールの世界はあまりに豊かで、現在アメリカを中心として全世界で巻き起こっているクラフトビールムーブメントのかけがえのない源泉としても機能している。つまり、どこまでも伝統的でありながら、今の最前線のビールシーンにも影響を与え続けているのだ。
味わいも多彩であることから食事と合わせるペアリングの楽しみも深い。この記事が、酒屋さんでベルギービールを手に取ったり、ベルギービールウィークエンドなどに行ったりするきっかけになれば幸いだ!