学資保険の返戻率の推移
学資保険の返戻率は、特約を付帯しなければ100%を上回る商品も多いですが、近年では返戻率が低下傾向にあります。
その理由は、学資保険の返戻率は保険会社の「予定利率」と結びついているためです。
「予定利率」とは?
保険会社が顧客から受け取った保険料を運用する際に約束する「運用利回り」のこと。
たとえば、下記は、とある保険会社の責任準備金残高(契約年度別)を表した一覧表ですが、1995年度以前に比べて直近の予定利率は大きく下がっていることがわかります。
※1. 責任準備金残高は、個人保険及び個人年金保険の責任準備金(危機準備金を除く)を記載しています。なお、団体保険・団体年金保険の取り扱いはありません。
2. 予定利率については、各契約年度別の責任準備金に係る主な予定利率を記載しています。参照:統合報告書2022 データ編|アフラック
学資保険を販売する保険会社は、主に債権投資などの比較的リスクの少ない運用方法を選択しています。
しかし、昨今の日本の低金利の影響を受けて予定利率が下がっているため、結果として学資保険の返戻率が低下傾向にある要因となっているのです。
なお、保険会社は株式市場や不動産など他の投資先にも投資しているため、学資保険の返戻率が予定利率に100%連動するわけではないことも覚えておきましょう。
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学資保険以外で子供の教育資金を準備する3つの方法
学資保険の返戻率が落ちていることを踏まえると、学資保険以外の方法で子供の教育資金を準備することも視野に入れておく必要があります。
ここでは、学資保険以外で子供の教育資金を準備する3つの方法を紹介します。
学資保険以外で子供の教育資金を準備する3つの方法
つみたてNISA
低解約返戻金型終身保険
定期預金
1. つみたてNISA
つみたてNISAは、年間40万円までの新規投資で得られた利益が最長20年間は非課税になる制度です。
合計で800万円までの資産を非課税で運用できるので、子供の教育資金をはじめ、老後資金を貯蓄する方法としても注目を集めています。
また、資産はいつでも引き出すことができ、NISA口座を開設する金融機関によっては100円程度の少額から始められるので、投資経験がない初心者の人にもおすすめです。
なお、2024年以降は現行のつみたてNISAや一般NISA制度が見直され、まったく異なる「新NISA制度」が始まります。
新NISAでは、従来の一般NISAとつみたてNISAの実質的な併用が可能となり、年間投資枠が最大360万円にまで増額されます。
さらに、最大1,800万円までの新規投資が無期限で非課税となるため、これまで以上に効率よく資産運用ができるようになる予定です。
現行のつみたてNISAの新規買付は2023年末で終了してしまいますが、それまでにつみたてNISAの利用を開始していれば、2024年からの新NISAとは別で非課税期間が継続されます。
つまり、2024年以降は最大1,800万円+つみたてNISAの40万円分の非課税枠が利用できることになるので、まだ利用していない人は早めに手続きを行うのがおすすめです。
つみたてNISAとは?デメリットとメリット・始め方をわかりやすく解説
2. 低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、一生涯の死亡保障を備えられる終身保険の一種です。
終身保険を途中解約すると「解約返戻金」としてお金が払い戻される仕組みとなっています。
低解約返戻金型終身保険は、保険料の払込期間中は解約返戻金が低めに設定される代わりに、毎月の保険料負担が通常の終身保険よりも割安なことが特徴です。
また、保険料の払込期間が満了すると、それ以降は従来の終身保険と同水準の解約返戻金となります。
たとえば、子供の大学費用を補填するのが目的なら、子供が17歳や18歳に達する時期に合わせて払込期間の満了時期を設定することで、教育資金を準備できるでしょう。
ただし、長期保障を前提とする保険商品であるため、物価上昇などのインフレリスクがある点には注意が必要です。
3. 定期預金
定期預金とは、あらかじめ指定した期間中は継続して、お金を預け入れる銀行預金のことを指します。
原則として、定期預金は指定した期間を経過するまで預金を引き出すことができないため、子供用の貯金口座を作って毎月振り込むことで、半強制的にお金を貯められます。
また、定期預金には元本割れのリスクがないため、着実に子供の教育資金を貯金できる点がメリットです。
一方、金利が低めに設定されているため、運用効率自体は高いわけではありません。
効率の良い資産形成を考えているなら、定期預金を併用しながら上述の「つみたてNISA」を活用するのがおすすめです。
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