ぽっちゃりモデルから「ラ・ファーファ」編集長へ。安藤うぃさん30歳からの挑戦

人生100年時代と言われる昨今、働き方や家族のあり方、学び方など生き方そのものが多様に変化してきている。人生の転機をチャンスに変えた人たちは、次のステップをどう踏み出したのだろう?

モデルとして居場所を見つけ、個性を楽しめるように

大学進学と共に上京した安藤さんは、渡辺直美さんが表紙を務める『ラ・ファーファ』創刊のニュースを目にしてすぐにオーディションを受け合格。2号目から現在まで、『ラファモ(ラ・ファーファ専属モデル)』として活躍してきた。

「いよいよぽっちゃりの時代が来た、このオーディションは受けなくちゃ!と気合を入れて面談にショートパンツで臨みました(笑)。今でこそお腹を出したりショートパンツをはいたりすることもありますが、当時の私には、街中でショートパンツをはく勇気はなかったんです。だからこそ、オーディションでは『ぽっちゃりさんが堂々とショートパンツをはける世の中にしたい』と言ったことを覚えています」

“ぽちゃかわ”という言葉が生まれるなど、“ぽっちゃり”がキャラクターとして注目され始めた時代。とはいえ“ボディーポジティブ”のような価値観はなく、うぃさん自身も個性をどう表現するべきか、模索していた。

「『ラ・ファーファ』という居場所を得たことで、おしゃれの情報交換をしたり、人生を楽しんでいる仲間に刺激を受けたりして、コンプレックスから解放されていきました。SNSも浸透してきた時期だったので、読者の方からポジティブなメッセージをいただいたりして、自信が持てるように。なんとか痩せて人前に出る活動をしたいと頑張ってきましたが、痩せずに夢を叶えることができました。人生って何があるかわからないですね」

(広告の後にも続きます)

ぽっちゃり界を飛び越えて、発信力を高めていきたい

『ラ・ファーファ』では、モデルたちの身長、体重、スリーサイズを公表しており、モデルのキャラクターを生かした誌面作りや、交流イベントなども読者からの支持を集めている。

「約10年関わってきて、雑誌の枠を超えた『ラ・ファーファ』というコミュニティを作ってこれたんじゃないかなという実感があります。これからは、洋服のプロデュースをしたり、『ラ・ファーファ』以外の雑誌にも出演したりと、ぽっちゃり界を飛び越えてもっと外に向かって発信力を高めていきたいですね」

今年30歳を迎えた安藤さんだが、20代後半はモデルとして行き詰まりを感じていた時期もあったと振り返る。

「ありがたいことに、モデルとしてある程度お仕事をいただいてきましたが、サイズ感だけを求められているような、個性を消さなくてはいけない場面も多く、自信を失っていた時期がありました。『仕事を失ってもいいから自分らしくいたい』と、思い切って髪色をピンクに変えてみたら、意外にもクライアントさんやファンの皆さんたちも受け入れてくれました。自分が認められたような気がしてすごく嬉しかったです。挑戦してみないとわからないことってたくさんあると思うから、何事にも挑戦していきたいし、私が体現することで、読者や若い世代の背中を押すことができたらと思っています」

編集長として『ラ・ファーファ』を進化させるだけでなく、コンプレックスに悩む人達の人生を豊かにするために、そして自分自身が挑戦を続けていくために、メディアを上手に活用していきたい。キラキラの笑顔でそう語る安藤さんのNEXT STAGEのドアは開かれたばかり。今後の活躍からも目が離せない。

photo: Tomoko Hagimoto interview & text Eriko Azuma

アナウンサーから海外旅行業界へ。大木優紀さんの新たな人生の扉
「ゼロからイチを作り出すのが好き」。MEGUMIさんが次に目指すもの