贈与税は年間110万円まで非課税、一括贈与の非課税制度も

贈与税の課税対象に該当した場合でも、年間110万円の基礎控除があるため、受贈者ベース(受け取る側)で年間110万円以内の贈与であれば非課税となります。

「父親から110万円、母親から110万円を受け取ったので、贈与税は課税されない」というのは誤りです。この場合、同じ年の贈与であれば受け取る側は合計220万円の贈与を受けたことになり、贈与税がかかりますのでご注意ください。

また、結婚や子育て資金には別枠で「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度」があります。概要は以下です。

筆者作成

父母のみならず祖父母からの贈与も対象になり、1000万円まで非課税となります。結婚資金目的の贈与はそのうち300万円までが限度となります。この制度を利用する場合、金融機関に専用の口座を開設する必要があります。

<直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度の流れ>
    銀行等金融機関に専用の口座を開設
    親などからその口座に一括等で贈与を行う
    子はその口座から資金を引き出し、結婚や子育て資金として利用
    実際に目的通り利用しているかどうか、領収書等を金融機関に提出

「この出費は子育て資金に該当するのか?」と迷うこともありそうです。以下、国税庁がHPに掲載している結婚・子育て資金の範囲を参考にしてください。

結婚・子育て資金の範囲

結婚に際して支払う次のような金銭をいいます。
    挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用
(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)
 家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)

妊娠、出産および育児に要する次のような金銭をいいます。
 不妊治療・妊婦健診に要する費用
 分べん費等・産後ケアに要する費用
 子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)

国税庁HPより引用、一部筆者編集

なお、途中で贈与者の親が亡くなった場合や資金を使い切れなかった場合は、相続税の課税対象になるといった注意点もありますので、税務署や金融機関等の専門家にお問い合わせください。

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贈与は「前もって」を意識


贈与
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日本の個人金融資産は大半を高齢者世代が有しているのが現状です。一方、結婚や子育て、車や住宅の購入といった、まとまったお金を必要とすることが多い若い世代はそれほどお金を持っていないという構図になっています。

せっかく子や孫のために資金援助してもらった結果、多額の税金がかかるという結果になるのは避けたいところ。前もって、贈与税の仕組みを知る、そしてどんな非課税制度があるのか確認することが大切です。何も知らず贈与を受け、数年後に指摘されるということも考えられます。「前もって」を意識し、このようなお金に関する情報に触れ、そして適切な行動を心がけてください。