自然をテーマにした革新的な空間 「ブシュロン銀座本店」がオープン

パリの老舗ジュエラー「ブシュロン」の銀座本店が移転し、リニューアルオープン。心躍る自然の力強さ、美しさを感じながら、ジュエリーを巡る旅が体験できる空間が完成した。

1858年に誕生し、パリ・ヴァンドーム広場に店舗を構えた最初のジュエラーとして知られる「ブシュロン」。このほど、日本旗艦店が東京・銀座の中央通りに移転し、リニューアルオープンした。新店舗は全4フロアから成り、ヴァンドーム広場のパリ本店に次ぐ世界最大規模の売り場面積を誇る。


CGで生成されたアニメーションで、四季の景色を再現したファサード。季節ごとの美しい自然が映し出される


アイコンコレクションが並ぶ1階。創業者の時代からジュエリーデザインにも取り入れられている蔦柄がモザイクになった床も美しい

デザインのテーマは、東京の中心地に息づくパリの庭園。ヴァンドーム広場のパリ本店を象徴するエリア「ジャルダン ディヴェール(冬の庭園)」の建築様式を再解釈したファサードなど、至る所で自然への慈しみや賛美を表現している。「ブシュロン」CEOのエレーヌ・プリ=デュケン氏は「歴史と風格のあるパリ本店のエッセンスを取り入れながら、銀座にふさわしいモダンな表現にしたいと考えました。伝えたいのはメゾンに深く根差した“自然”を核とした物語です。そして、銀座本店は、統一感がありながら、フロアごとに空間のコンセプトが異なっていることも特徴。私たちメゾンの大切な価値観である“ファミリースピリット”を感じさせる、まるで家族や親しい人たちと寛ぐ家のような雰囲気に仕上がったと思います」と語る。


エレーヌ・プリ=デュケン 「ブシュロン」最高経営責任者
photo: Masato Kawamura

「ブシュロン」は1973年に日本でのビジネスをスタート。フランスに次ぐ歴史あるマーケットとして、これまでも好調にビジネスを拡大している。「まず日本ではブライダルジュエリーのビジネスを確立しました。そしてここ数年、ハイジュエリーに重点を置いたことで、現在では、本国でのポジションと同様にハイジュエラーとしての認知度が高まっていると考えています。その意味でも、世界のトップジュエラーと並び、銀座の中央通りにブティックを構えられたことは大変意義があります」。


光を通して浮かび上がる植物のシルエットで自然への没入感が高まる階段


2階にはヴァンドーム広場のパリ本店の「ジャルダン ディヴェール(冬の庭園)」を再解釈したVIPスペースが

また、サステナブルな取り組みでハイジュエリーの業界をリードする「ブシュロン」は、この旗艦店オープンに際しても、サステナビリティが欠かせないコンセプトの一つとなっているとデュケン氏。現在、銀座本店では環境に配慮した建物に対する認証制度「LEED(Leadership inEnergy and Environmental Design)」の取得を申請中だ。「ヴァンドーム広場のパリ本店も2018年のリニューアルの際にLEEDの申請をし、現在、認証を待っています。時間は掛かりますが、銀座本店もその取得を目指しています」。さらに“No Pack is the New Pack(梱包しないという選択)”という考えから生まれた、再生素材のジュエリーケースによるサステナブルな新パッケージの導入を、パリ本店に続き、銀座本店でもスタートした。


3階のブライダルのフロアに配された白い樹々のオブジェは、願いや誓いを神社仏閣の神聖な木に結ぶという日本独自の風習が着想源


新たにリニューアルしたサステナブルなジュエリーケース。アルミニウムとウールフェルトという2つの再生素材のみを使用し、リサイクルやリユースのできるパッケージを目指した

メゾンの精神が隅々にまで宿るこの銀座本店。革新と創造に満ちた「ブシュロン」の世界観、そしてここでしかできない体験をゆっくりと味わってみたい。