介護施設にて義務化された「安全対策担当者」とは?役割や人選について解説

2021年度の介護報酬改定によって安全対策担当者の設置が義務付けられました。

しかし、安全対策担当者がどのような理由で義務付けられ、どのようなことをする担当者なのかしっかりと理解できていないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、介護施設において設置が義務付けられた「安全対策担当者」について、義務付けられた理由や役割、適切な人選などについて詳しく解説します。

より安全な介護現場を作るため、安全対策担当者について不安があるという方はぜひ最後まで読んでみてください。

介護施設において安全対策担当者の設置が義務化された

2021年度(令和3年度)に実施された介護報酬改定にともない、介護施設において安全対策担当者を定めることが義務付けられました。

令和3年度に行われた介護報酬改定にて安全対策担当者について触れられている部分は以下の通りです。

”介護保険施設における事故発生の防止と発生時の適切な対応(リスクマネジメント)を推進する観点から、事故報告様式を作成・周知する。

施設系サービスにおいて、安全対策担当者を定めることを義務づける(※)。

事故発生の防止等のための措置が講じられていない場合に基本報酬を減算する(※)。

組織的な安全対策体制の整備を新たに評価する。

(※6月の経過措置期間を設ける)”

(出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告の概要」)

(広告の後にも続きます)

安全対策担当者の設置が義務付けられたのはなぜ?

介護施設において要介護者の安全対策をすることは当たり前のように感じますが、なぜ改めて安全対策担当者の設置が義務付けられたのでしょうか。

その大きな理由は、安全対策体制加算を取得していない介護事業者が多いからです。

安全対策体制加算とは、介護施設において事故を未然に防ぐための対策を行っている事業者が算定できる加算です。

しかし、算定している介護事業者は特養で69.9%、老健で73.9%、介護医療院で50.2%という決して高くはない数値となっています。

(参考:厚生労働省「介護保険施設のリスクマネジメントに関する調査研究事業)

また、同調査の結果において、安全対策体制加算を取得しない理由が「外部の研修を受けた担当者を配置できない」である施設は、特養で24.1%、老健で44.9%、介護医療院で48.8%であることから、外部研修を受けた担当者不足が特に課題だということがわかったのです。

そのため、2021年度に改定された介護報酬では、以下の3点を満たしていることが安全対策体制加算には必須となっています。

外部の研修を受けた担当者を配置している
施設内に安全対策部門を設置している
組織的に安全対策を実施する体制が整備されている