社会保険と民間保険は大事だが医療費コストを下げるチャンスは自分次第

ここはお金のコラムですから、ちょっとお金とヘルスマネジメントの関係についても考えてみましょう。

病気やケガのリスクに備える仕組みとしては公的なもの(社会保険)と、民間でやっているもの(民間保険)があります。

社会保険の代表は健康保険です。会社員であれば会社の健康保険組合や協会けんぽに加入しており、健康保険料を毎月納めていますが、これにより実際にかかった病気やケガの経済的負担を軽減することができます。

健康保険証を持っていれば、実際の医療費の3割負担で治療を受けることができます。また、負担が高額になった場合は上限の歯止め(高額療養費制度)があり、天井知らずの負担にならない仕組みもあります。

長期療養で仕事を休む場合も、3分の2相当の収入を最大1年半にわたってもらえる傷病給付金制度があり、無理をせずに治療に専念することができます(自営業者が加入している国民健康保険には療養給付はない)。

さらに自身で民間保険に加入していた場合、加入時に約束していた条件について生命保険や医療保険の契約にもとづき給付が行われます。ただし、まったく病気にならなかった場合は保険料の一部は掛け捨てとなります(いくら戻ってくるかは保険契約による)。

こうしたもしものときの備えを活用することで病気やケガになったときの経済的負担を抑えることができます。しかし、これはあくまで「たくさん負担がかかった場合の医療費」を下げる仕組みです。負担しなくて済むならそれがもっとも安上がりです。

特に生活習慣に関する疾病は継続的な通院を要することも多く、また他の病気を招く恐れもあります。将来にわたって大きな負担となる疾病リスクをできるだけ回避するには、やはり若いうちから自分自身のヘルスマネジメントが必要になってきます。

ジム会費やサプリの購入費用などの一定範囲の出費は、一見すると小さくない出費です。しかし長い目で見た時に医療にかかる出費を下げてくれる可能性があると考えれば、無駄な費用ではないわけです。そういう視点も持つと、自身のヘルスマネジメントへのアプローチも変わってくるかもしれません。

(広告の後にも続きます)

個人差の大きい健康問題、自分と向き合っていこう

このテーマ、難しいのは個人差が大きいことです。タバコや酒をさんざん嗜んだ人が、肺がんにもならず肝臓も壊さない一生を過ごすということもあります。

健康管理に気をつかって適度な運動をしていても、心筋梗塞で倒れてしまうこともあります(心筋梗塞は必ずしも不健康と一致しない)。

人間の寿命や発病については親の遺伝的な形質、単純な個人差も大きく、「○○をすれば、寿命が90歳になることは確実」とか「△△をすれば、絶対にガンにならない」ということはありません。

それでもやはり、傾向としてヘルスマネジメントの意義はあります。医学的な研究や知見から、「病気になりにくい」生活スタイルや「生活がちょっと楽になる」生活スタイルが明らかになってきており、参考にすることは決してムダではありません。

自分の体と向き合い、話し合ってみると、いろいろな変化に気づくことができます。私もサプリをいくつか飲んでいますが、本当に効果はあるのかと疑って時々中断してみて、体調の変化を調べてみることがあります。でもやっぱり体調に違いがあるようで、効果がムダではないことを確認し、継続しています。

自分のヘルスマネジメントのやり方に疑問を持ったときは、たまに違うアプローチを採用してみるのもいいでしょう。もしかすると、よりよい効果が現れるかもしれません。

また、プロのアドバイスをもらってみることも有効です。食生活について、あるいは運動習慣について専門的な知見を得ることができれば、より効果的な健康管理が可能になります。私の友人はスポーツジムでパーソナルトレーナーと一定期間契約をしてトレーニングをしたところ、効果が大きかったそうです(結果として継続的にお願いすることになったとか)。

日本は超高齢社会になりましたが、大切なのは「元気で、長生き」をすることです。常日頃から心身の健康管理をすることはそのための大きな力になるはず。

少しお金を払ってでも自分の心身の健康を「買う」こと、若いうちから心がけてみてはどうでしょうか。