MW Interview リサ・ペロッティ=ブラウンMW

リサ・ペロッティ=ブラウン MW
米『ワイン・アドヴォケイト』の元編集長で、同誌ではボルドーやカリフォルニアを担当したリサ・ペロッティ=ブラウンMW。2001~06年に東京に滞在した経験があり、日本のワイン産地にも関心を寄せてきた。今回の山梨訪問は、20年ぶりに日本ワインの現状に触れる機会となった。
視察で特に印象に残ったのは、甲州の熟成例だったという。
「グレイスワインでは1957年の甲州を試飲する機会があり、長期熟成のポテンシャルを持つ品種であることを実感しました。甲州は若くフレッシュな状態で楽しむワインという印象が強いですが、十分な酸と凝縮感があれば、熟成によって複雑さを増していく可能性があると思います」
甲州が日本固有の品種であることも、重要なポイントとして挙げた。
「日本の気候は生育期に雨が多く、栽培期間も短いため、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロといった国際品種で世界の産地と競争することは容易ではないでしょう。しかし甲州は日本の気候に適応してきた品種であり、日本のテロワールの中で育まれてきたブドウです。だからこそ、優れた甲州ワインを生み出せるのは日本なのだと思います」
また、この20年の変化についても率直に語った。
「以前は栽培や醸造の技術がまだ発展途上で、やや素朴なスタイルのワインも多かったですが、現在は非常によく造られており、より明るく、凝縮感のあるワインになっていると思います」と日本ワインの確かな進化を実感していた。
ワイナリー訪問「マンズワイン」
続いて一行が訪れたのは「マンズワイン」の「勝沼ワイナリー」だ。セミナーではワイナリーの歴史、プレミアムブランド『ソラリス』のコンセプトなどが紹介された。
ワイナリーの概要について代表取締役社長の島崎大氏が説明。誕生は1962年、「キッコーマン」によって山梨県・勝沼に設立された。醤油の海外展開を見据え、西洋の食文化に関わる事業としてワインに参入したことが始まりだったという。
次に、取締役 醸造技術部長の宇佐美孝氏が、『ソラリス』や栽培の取り組みについて解説。マンズワインでは、日本の多雨な気候に対応するため、ブドウ樹の上にフィルムを張って雨を遮る「マンズ・レインカット」を導入している。また、シャルドネとリースリングを交配した「信濃リースリング」など、品種育種の取り組みについても紹介した。
続いてマンズワイン「小諸ワイナリー」工場次長 栽培・醸造責任者の西畑徹平氏が、長野県小諸の冷涼な環境を生かしたワイン造りについて説明。標高の高い畑でシャルドネやメルロを栽培し、冷涼な気候を生かした土地の個性を表現するワイン造りを目指していると話した。

「マンズワイン」代表取締役社長の島崎 大氏によるプレゼンテーション

「マンズワイン」の醸造施設を見学

試飲ワイン『ソラリス 古酒甲州2013年』『ソラリス 古酒甲州2007年』『ソラリス 山梨甲州2024年』『ソラリス 千曲川シャルドネ 2024年』『ソラリス 小諸シャルドネ ヴィエイユ・ヴィーニュ2024年』『ソラリス 千曲川シャルドネ メトッド・トラディッショネル ブリュット・ナチュール 2018年』『ソラリス 小諸 メルロー2021年』
セミナーでは、栽培・醸造についての具体的な質問が相次いだ。糖度が上がらない場合には逆浸透膜による濃縮果汁を用いることがあること、甲州は酸を保つため基本的にマロラクティック発酵は行わない方針であること、またレインカット栽培は設置・管理に手間がかかるものの日本の多雨環境で品質を確保するための重要な技術であることが、それぞれ説明された。
技術的な取り組みの詳細に触れ、MWたちは日本のワイン産地が直面する課題と、それに対する各社の工夫について理解を深めた。

