
福岡市植物園で開催された「Fukuoka Flower Show 2026」は、庭好き、花好きなら見逃せない見どころに満ちた5日間でした。英国RHSチェルシーフラワーショーに準拠したガーデンコンテストでは、木漏れ日や葉ずれの音まで感じさせる庭や春の七草を織り込んだ野原のような庭が最優秀賞に選ばれました。さらに、思わず写真を撮りたくなる豪華絢爛な演出、ハンギングやベランダガーデンの秀作、まだ知らない新品種に出会えるプランツアワード、街なか花装飾まで。Fukuoka Flower Show 2026で見えた“花のイベントのその先”をレポート。
庭を“展示”で終わらせず、都市の文化へ昇華する5日間
「Fukuoka Flower Show 2026」は、この春リニューアルした福岡市植物園を会場に、3月22日から26日まで開催されました。国際水準のガーデンコンテストやベランダガーデン、ハンギングバスケット、品種のコンテスト、レストラン・カフェ、ステージプログラムなど充実のコンテンツで、25日は21時までのライトアップも開催。 まずは注目のガーデンコンテストからご紹介します。
FFS Garden of the Year(最優秀賞)は「The Spirit of the Forest ― 森のスピリット ―」

注目のガーデンコンテストのFFS Garden of the Year(最優秀賞)を受賞したのは「The Spirit of the Forest ― 森のスピリット ―」。この作品は、京都の芦生の森や東京の明治神宮への訪問から着想を得ています。まるで静かな森のような空間をつくり出し、来訪者に思索や内省の機会を与えると同時に、日本の森林の未来についての物語を伝えることを目指した庭です。人工林をやさしく間伐することで、森の床に再び光が届き、より多様で強靭な森林の再生が促される姿を表現しました。
手がけたのは、英国のガーデンデザイナー、デイヴ・グリーン氏。RHSで10年以上の経験を持ち、2019年のRHSハンプトンコートパレスガーデンフェスティバルでゴールドメダル、2025年のRHSチェルシーフラワーショー・スモールショーガーデン部門でもゴールドメダルを受賞。2025年大阪・関西万博の英国パビリオン植栽デザインと監修も担当しました。今回の施工は、にわむすびとOne Flower FUKUOKAが担当。国際的な設計者のビジョンを、地域の施工チームがかたちにした点も、この庭の見どころのひとつです。

木漏れ日、葉の陰影、葉ずれの音……森の気配を美しく写し取った庭

樹木の枝葉がつくるやわらかな明暗、下草の重なりが生む奥行き、視線を少しずつ遮ったり抜いたりする植栽の組み方。その一つひとつが、ただ植物を美しく配置するためだけではなく、森に身を置いたときに感じる感覚の総体を立ち上げるために働いているように見えました。

枝葉を通した光は時間とともに移ろい、同じ場所でも表情が変化し、また風が吹けば葉がかすかに触れ合い、耳心地のよい葉ずれの音が。森の中でふと感じる木漏れ日、葉の陰影、葉ずれの音、湿り気を含んだ空気といった、自然の中で起こる繊細な事象そのものが、庭というかたちに置き換えられていました。最優秀賞という結果は、そうした静かな表現の確かさと強さが高く受け止められたことを感じさせます。
