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アジサイを部屋に飾る新常識。ギフトにもぴったりな「こじさい」の魅力

アジサイを部屋に飾る新常識。ギフトにもぴったりな「こじさい」の魅力

ヤマアジサイの魅力を広めるパイオニアへの歩み

アジサイ苗
吉岡さんの美しい温室で育つアジサイ。色づいてから出荷します。

吉岡さんの原点は、実家の花農家です。ユリなどの鉢花を生産する父の背中を見て育ち、自然と植物への興味を深めていきました。テクノ・ホルティ園芸専門学校で専門知識を学んだあと、花店での勤務経験を通して、消費者のニーズや花の魅せ方を肌で感じていきます。

その後、埼玉県内の著名なポインセチア生産者の元で研修を積み、その美しさと奥深さに魅了され、自身も生産者の道を歩むことを決意します。吉岡さんの作るポインセチアは、その品質の高さはもちろん、ひとつひとつの株に愛情を込めて向き合う真摯な姿勢が評価され、瞬く間に人気を博しました。2001年の「オールジャパンポインセチアフェア」での大賞をはじめ、農林水産大臣賞も受賞するなど、「吉岡麗子ブランド」として確固たる地位を築きました。

そんな吉岡さんがヤマアジサイの生産を始めたのは、今から10年以上前のこと。とある山野草専門店で出会った’伊予獅子てまり’の、小さく丸みを帯びた可憐な花房に心を奪われたのがきっかけでした。

アジサイ‘伊予獅子てまり’
色づき始めの‘伊予獅子てまり’。淡いピンクが徐々に色づく。

今でこそ、鉢花として広く流通するようになったヤマアジサイ‘伊予獅子てまり’ですが、吉岡さんが生産を始めた当時はまだ珍しい存在でした。吉岡さんは、その魅力をいち早く見出し、世に広めたパイオニアです。

ヤマアジサイは前述したとおり、古くから日本の山々に自生していたアジサイの一種です。西洋アジサイのような大輪で圧倒的な存在感や華やかさとは異なり、どこか控えめで、楚々とした風情を漂わせるのが最大の魅力。派手さはないけれど、心にそっと寄り添うような、奥ゆかしい美しさをもっています。   

吉岡さんのアジサイ作りを力強く支えるのが、妹の真美子さんです。当初は一般企業に就職し、家業を継ぐつもりはなかったという真美子さんですが、退職後に姉の手伝いを始めたことで、その才能が開花します。

かつて企業で培った視点を活かしてPR用カタログ作成やラベルデザインを担当し、さらに今では生産現場にも深く関わり、アジサイの育種にも携わっています。生花店育ちの麗子さんと、企業センスをもつ真美子さん。それぞれの視点が融合することで、「吉岡麗子ブランド」は唯一無二の輝きを放つようになりました。

1年という年月をかけるアジサイ作りの舞台裏

美しいアジサイの鉢植えが私たちの元に届くまでには、1年近くもの時間と、大変な手間がかかります。これは、夏に植えて晩秋から初冬に出荷されるポインセチア(生産期間は約3~4カ月)と比べると、非常に長い期間です。アジサイ作りは、1年がかりの大仕事なのです。   

アジサイ生産の年間スケジュール

5月上旬(ゴールデンウィーク頃): 来シーズンに向けた準備がスタート。親株から健康な枝を選んで切り取り、小さな苗用のポットに挿し木をします。   

5~11月頃: 挿し木をした苗を、屋外の管理しやすい場所で育てます。夏の暑さや病害虫から守りながら、じっくりと根を張らせ、株を充実させます。   

年内(11~12月頃): 寒さから苗を守るため、ハウス(温室)の中へ移動させます。春に美しい葉が育つために、残っている葉を手で1枚ずつ取ります。   

1月: 育った苗を、いよいよ出荷用の鉢へと植え替えます。ここから、春の開花に向けて本格的な管理が始まります。

1月~春(開花期): ハウスの中で、温度や湿度、日照などを適切に管理しながら、ひとつひとつの鉢に丁寧に水やりを行います。美しい花を咲かせるための、もっとも重要な時期です。  

5月のゴールデンウィーク頃に挿し木を行い、11月までは屋外で管理。その後、温室に移動して大切に育てます。吉岡さんが拠点を置く深谷市は夏の猛暑で知られる熊谷市の隣に位置し、アジサイにとっては過酷な環境です。枯らさないよう、ダメージを受けないよう、吉岡さんはひと鉢ひと鉢の状態を日々確認し、最適な管理を心がけています。

「こんなに長い時間をかけて育てているので、無事に美しい花を咲かせて、お客さまにお届けできるか、本当にひやひやしながら見守っています」と吉岡さんは語ります。

そして、吉岡さんのアジサイ作りにおける大きなこだわりのひとつが、ひと鉢ずつの水やり。アジサイ栽培では、効率化のために底面給水(トレーなどに水を溜めて鉢底から吸わせる方法)を採用する生産者も多いなか、吉岡さんはあえて手間のかかる水やりにこだわります。「効率よりも、ひとつひとつの花としっかり向き合い、コミュニケーションを取りたいんです」。

その言葉どおり、日々の水やりを通して、アジサイのわずかな変化も見逃さず、異常があればすぐに対応できるように、常に気を配っています。ゴミひとつ落ちていない、美しく整えられた温室の様子からも、吉岡さんの丁寧で几帳面な仕事ぶり、そして花への深い愛情がひしひしと伝わってきます。   

アジサイの水やり
圃場で水やりをする真美子さん。日焼け対策万全です。

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