「うつ病と診断されればOK」といった単純な話ではない
雇用保険制度における「就職困難者」には、障害者のほか、統合失調症、うつ病や双極性障害(躁うつ病)などの精神疾患を有する者も含まれる場合があります。ただし、これは単に診断名があるだけで認定されるものではないのです。
就労制限の程度や医師の意見、日常生活への影響、求職活動の可否などを総合的に判断し、ハローワークが個別に認定します。また、基本手当そのものも、「働く意思と能力があり、就職できない状態」であることが前提です。さらに、疾病を理由とした離職が特定理由離職者として認められる場合も、客観的資料に基づく判断が必要となります。
つまり、「診断を受ければ自動的に長期給付になる」といった単純な話ではないのです。
「300万円」はもらえないが…自分に合った制度を適正に活用した結果
結局、トモカさんは長期間職歴が空白になる健康保険の傷病手当金の受給は見送り、雇用保険の基本手当(失業給付)のみを受ける方針を選択しました。
主治医に相談したところ、「現在はうつ病の状態にある」「退職時点ではフルタイム就労は困難」「環境が変われば週20時間以上の就労は可能」という内容の意見書を作成してもらうことができました。
そして退職後、トモカさんは離職票を持って住所地を管轄するハローワークへ向かいました。窓口では、離職理由や通院歴、医師の意見、就労可能性などについて、丁寧なヒアリングが行われました。
その結果、トモカさんは「特定理由離職者」として認定され、給付制限なしで基本手当を受給できることに。また、国民健康保険料の軽減措置の対象にもなりました。
その後、比較的早期に再就職が決まり、再就職手当の支給も受けることができたそうです。
基本手当日額6,207円、残日数約240日とすると、約6,207円×240日×70%≒約104万円と100万円超の支給となります。確かにまとまった金額ではあるものの、広告で見た「300万円」とは大きく異なる現実でした。
「最初は“もらえるなら得”と思っていました。でも実際は、自分の状態に合わせて必要な制度を使うものなんだとわかりました」
このトモカさんの言葉こそ、本質を突いています。これらの給付はあくまで、生活の安定や再就職支援を目的とした制度であり、利益を得るための仕組みではないのです。
