◆大手に転職したら、γ-GTPが劇的に改善
こうして、酒を断って半年後、大手出版社に業務委託として入ることになった。正社員ではなくなるが、給料がこれまでの倍になるらしいので、あまり深く考えないことにした。「就活もうまくいかず、丁稚奉公のようにアルバイトスタートだったのに、そんなに成り上がってどうするの?」
周囲からは賞賛とともにそう笑われたが、本当にその通りだ。仮にこの会社でうまくいかなかったら、次はどの出版社に入ればいいのだろうか。
ちなみに、このときの筆者の健康状態だが、半年前はγ-GTPの値が「2410」と診断されただけでなく、血糖値の指標である「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」も6.0%を超えていた。
この数字が何を意味するかというと、「糖尿病予備軍」になってしまったということだ。糖尿病と診断されるのは6.5%からなので、もう少しで丸々としたお腹にインスリン注射、という状態だった。
ただ、酒を飲まなくなって1カ月で、γ-GTPはすぐに200程度まで戻った。それでも、まだ高いが、青天井を超えて2410を突破したこともあるのだから、医者も家族も褒め称えてくれた。酒を飲んでないだけなのにね。
同時にストロング系の人工甘味料を摂らなくなったからか、HbA1cも途端に5.5%に戻った。大抵のことは、酒をやめればなんとかなる。
こうして、30歳になる前に「健康体」で新たな門出を迎えた。
◆印刷所の対応からして全然違った
所属するのは老舗週刊誌だ。今までいた編集部とは比べものにならないくらい、編集者、記者、カメラマンがいる。さすが、大手出版社だ。歓迎会を開いてもらったが、あらかじめこれまでの私の「アル中人生」を伝えていたので、無理に飲まされることはなかった。
このときも、すっかり持ちネタと化していたγ-GTPの値「2410」を、「通常は40〜60だから、600倍なんですよ」と言って笑いを取っていたが、まだ20代前半の若手編集者から「60倍では?」と返された。以前の出版社では誰も指摘してこなかったので、ずいぶんと学力に開きがあることを思い知った。
学力だけでなく、年収もかなり違う。以前の出版社では朝から晩まで牛のように働いてはクレジットカードの支払いを延滞していたが、この会社では30代の正社員は年収1500万円を超えるらしい。すごい。ただ、それまで先輩から苛烈なシゴキを受けるため、残る人も限られる。
それに、ほかの会社からの扱いも違う。以前の出版社で取引のあった印刷所は、担当者に定年退職した老兵を充てていたのだが、大手出版社ともなると担当者はハキハキとした“完璧な営業職”。会社の目の前に支店があり、わざわざ社内まで印刷物を届けてくれる。これまでは色校も「日数がない」という理由で渋られていたのに、ここではじゃんじゃか刷ってくれる。その対応の落差に思わず、叫びそうになった。

