脳トレ四択クイズ | Merkystyle
牛丼屋で爆食い後に仮眠…“元アルコール依存症”30代男性の命を削った働き方「酒よりマシと自分に言い聞かせている」

牛丼屋で爆食い後に仮眠…“元アルコール依存症”30代男性の命を削った働き方「酒よりマシと自分に言い聞かせている」

◆酒の代わりに「過剰な糖分」を欲するように

医者にアルコール依存症と診断されて以降、一滴も酒を口にしなくなったが、だからといって健康的な生活を送れているわけではない。断酒したことで、体がほかに依存対象を求めたのだろうか……。異常なまでに糖分を摂取したくなるようになったのだ。

体内からアルコールが抜けた結果、ドーパミンを分泌させるためなのか、毎日夕方くらいに会社を抜け出して近くのコンビニに向かい、リプトンのミルクティー、メロンパン、プリン、エクレア、スーパーカップを購入する。それをイートインコーナーか社内の休憩スペースに持ち込み、むしゃむしゃと食べる。

ざっとカロリーを計算してみたところ、リプトンのミルクティーが77kcal、メロンパンが350kcal、プリンが130kcal、エクレアが260kcal、スーパーカップが374kcalなので、合計で1191kcalである。成人男性が1日に摂取してよいカロリーはだいたい2000kcalくらいなので、そのうちの半分を甘いもので満たしている。

「中島らもや吾妻ひでおの本に書いてあった通りだ!」

当初は体の変化にワクワクしたが、酒よりも甘いもののほうが金はかかる。ようやく酒をやめられたのに、今は毎月の食費がいくらかかっているのか、もはや考えたくもない。

◆牛丼屋で爆食いして、仮眠室に駆け込む日々

これだけだったらまだいい。ただ、転職しても終電近くまで働いている。この頃になると、いい加減、真夜中に食事をするのはやめようと思うようになり、会社にいても夕方くらいには晩ご飯を食べるよう心がけた。

しかし、会社の周りには飯屋がない。あるのは目の前の牛丼屋くらいだ。

かつて就活生のときに、新木場にあるとある出版社の評判を見ていると、ブラック企業というだけでなく、近隣に飯屋がないため「毎日牛丼」という口コミを見てせせら笑っていたが、まさか同じような境遇になるとは思わなかった。

それに、酒をやめて以降、食欲は復活したのか、朝昼晩、難なく食べられるようになった。というよりも食欲旺盛になり、朝も昼も夜もご飯は大盛りでないと満足しなくなってしまった。

そのため、牛丼屋でも特盛にするだけでなく、追加で唐揚げや納豆を頼み、1000円以上する「オリジナルセット」を毎日飽きずに食べていた。

これだけ食べていると、血糖値がぐんと跳ね上がる。その後、急激に低下することで強い眠気に襲われる。いわゆる「血糖値スパイク」である。

こうなると、仕事になんてならないが、ここは大手出版社。なんと仮眠室があるのだ。食べて眠くなると、すぐに仮眠室に駆け込む。

こうして、夕方に爆食いして1時間ほど寝て、また仕事に戻る……。アルコールにまみれていないだけ救いがあると思いたいが、決して健康的とはいえない生活リズムになってしまった。


◆ミルクティーを一瞬で飲み干すのがストレス解消

糖質依存
筆者が嗜む「甘いもの」。精神の安定に欠かせない
慣れない環境にストレスも感じていたのだろう。しかし、糖分を摂取することで、不安やストレスが軽減されていくような気がした。ひとくちアイスを食べるごとに、胸に抱え込んだ悩みが薄くなる。そして、1個食べ切る頃には悩み事などどうでもよくなり、幸せな気分になる。そして、血糖値スパイクで寝る。

アルコール依存症だった頃、散々体を痛めつけたが、結局は似たようなことをやってしまう。それでも、太るだけなら酒よりまだマシだ。HbA1cも酒を飲まない限りは安定している。やはり酒がすべて悪いのだ。

こうして、仕事でストレスを抱えると、過食気味に糖分を摂取していった。そのお供はストロング系でもエナドリでもなく、リプトンのミルクティーだ。それもストローで一気に吸い上げてしまうため、一瞬でなくなる。

というか、まずこのミルクティーを10秒もしないうちに飲み干すことで「至る」のだ。この頃、『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』が「ヤングアニマルZERO」(白泉社)で始まった。初回は楽しく読んでいたが、血糖値スパイクという現象を知ってからはあまり笑えなくなった。

◆“依存体質”から逃れられぬのか

また、糖分摂取はストレス解消の意味合いだけでなく、頭を働かせたり体力をすぐに回復させたりする意味合いもあった。というのも、週刊誌は担当ページが少なくとも締め切り厳守で、「1時間待って」などとは言えない。すぐ近くで印刷所の担当者が待っている。

そのため、毎週締め切りとの戦いだ。特別に難しい企画というわけではないが、芸能人のインタビューの場合、それまでに事務所チェックが済んでいないと大慌てしてしまう。担当マネージャーに鬼電し、事務所にも直接電話しなくてはならない。時間との戦いだ。

それが終わり、校了すれば一安心。つい甘いものに手が伸びてしまう……。というよりも、脳が「今すぐ糖分を摂取しろ」と何らかの電波を発しているようなのだ。むしろ、食べなければ頭痛に襲われることもあった。

結局これも、筆者の気にしすぎな性格と優柔不断さが招いた依存先なのだろう。ほかの正社員を見ていると、どっしりと構えていて、わざわざ甘いものに逃げようとはしていない。

「どこに行ったって、人間そのものが変わらなければ、何も意味がないのか」

深夜のオフィスでひとり、オフィスグリコのお菓子をつまみながら、筆者は依存症からは逃れられないことを思い知った。

<TEXT/千駄木雄大>

―[今日もなにかに依存中]―

【千駄木雄大】
編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある
配信元: 日刊SPA!

あなたにおすすめ