◆結婚後にも、懲りずにストーカー行為を…
――穏やかではないですね。守屋:これがストーカーの心理で、一般の人たちになかなか理解されないのですが、その刃物で彼女を刺そうとは思っていなかったんです。本当は弱い自分が強くいられるための、いわば”お守り”代わりだったんですよね。
――これまで加害者だった守屋さんが、なぜ回復できたのか知りたいです。
守屋:2003年に結婚をして、大阪で暮らしていました。それまでストーカー行為はしていなかったんです。ところが、とある女性に心を奪われ、東京で単身赴任をすることにしました。もちろん仕事での単身赴任でしたが、実態はストーカーです。そこで警察から口頭警告を受けた3日後、間髪入れずに書面警告で呼ばれ、「次は逮捕だ」と言われました。
気持ちが苦しくなってしまい、大阪に逃げるように帰ったとき、「自分が病院に入院してきちんと立ち直れば、相手は振り向いてくれるのではないか」と思ったんです。妻にも相談して、生活保護を受けながら再起を図ることにしました。
◆模範囚を演じていたら、心境に変化が
――入院生活はいかがでしたか。守屋:千葉県にある依存症専門病棟に入院しました。保証人は妻でした。しかしそこからが地獄でした。当時の私は、「入院=回復」だと思っていたのです。
しかしそこでの治療は、私の望む治療ではありませんでした。なにか文句を言えば「退院はできない。退院したいと言うなら医療保護入院だ」と言われ、問答の末に隔離をされました。その間、「どういうふうに自分が悪かったのか、反省文を書け」ということでした。反省をしていないのに、医師の望む作文をさせられる。気が狂いそうになってナースコールをしても、「これ以上騒ぐなら身体拘束です」と。心のなかで、「これは治療じゃない」と思いました。実際、医師から「お前は治るまで絶対に出られない」と恫喝もされました。
――退院できたのはどうしてですか。
守屋:医師の言ったとおりに治療をおこない、模範的な患者を演じたからですね。徐々に回復していく過程を演じたんです。心の奥底にあるものと違うものを演じていくうち、「ここを退院したら、被害者の支援や加害者の更生に携わろう」と誓いました。
――その時点では、回復していないですよね。
守屋:おっしゃる通りです。退院後に自分でアドラー心理学を読み、その考え方が自分にはまったことで、自らのおこないを俯瞰的にみることができるようになりました。それがきっかけで、変わっていけたと思っています。

