情報が錯綜する社会で、ある日突然、厄介な揉め事に巻き込まれることがあるかもしれない。
そんな“明日は我が身”なテーマを、エンタメ要素を入れてセンセーショナルに描く作品がある。正直者の弁護士・比嘉亜希と、元詐欺師のアウトロー弁護士・八木渉がバディを組み、さまざまな法律問題を解決に導く漫画『よき法律家は悪しき隣人』だ。
本記事では、原作協力を務める那珂川さんにインタビューし、創作の裏側を紐解いていく。すると、紛争地域を訪れた際に得た経験など、法律を題材にしたストーリーを描く原点が垣間見えた。

◆本業はゲーム会社の経営者
ーーまずは、那珂川さんのご経歴を教えてください。那珂川:初めに申し上げておくと、私は法律の専門家ではありません。どちらかといえばゲーム開発側の人間であり、インディゲームやアニメを企画開発する『TOKYOTOON』という会社を経営しています。
ーーそれは意外です。なぜあのような本格的な法律漫画を描けるのでしょうか?
那珂川:たとえば、命の現場に携わった経験がなくとも、徹底取材のうえ骨太な医療漫画を描く方がいます。私も同じイメージで、法律を学びながら作品と向き合っていて。弁護士の監修者と編集に囲まれ、リアルとフィクションの狭間で制作を重ねています。
◆無法地帯で“法のありがたみ”を感じた過去
ーーまだ、那珂川さんがリーガル漫画の原作を引き受けた理由がピンと来ていません。何か原体験のようなものはありますか?那珂川:そもそも原作協力を始めたのは、さまざまなご縁のなかで打診をいただいたのがきっかけです。打診をいただいたのは、私のゲーム会社以前のサラリーマン経験や会社経営等の社会経験からだと思いますが、私が引き受けた理由を辿ると、海外旅行で紛争地域を訪れた経験が該当するかもしれません。
戦時中、もしくは争いが終わったばかりの地域では、法律が機能していないケースがあります。裁判所のみならず、警察すらまともにない。トラブルを解決する手段が失われている状態だといえますね。
旧紛争地域で聞いたのは「隣人が自分を殺しに来るかもしれない」という恐怖に日々晒される現実です。最終的には「命を奪われる前に、自分が隣人を殺しに行かなくては」という思考にたどり着くこともあるし、実際にそういうこともあったと聞きました。
法律や警察がないことはユートピアかもしれませんが、実際は非常に危険です。今の日本では災害が起きても無法地帯にはなりません。それはすぐに復旧されるという安心感があるからで、もしその保証が無くなったらどうなるかわかりません。こうした経験が、法律や社会の成り立ちへの興味を思い出させて、今回原作協力を受ける決め手の1つになりました。

