児童相談所は、相続問題を解決する機関ではない
もっとも、児童相談所は相続手続きを直接行う機関ではない。
ただ、子どもに後見人が必要と判断された場合には、家庭裁判所への未成年後見人選任申立てを促したり、弁護士や司法書士などの専門家と連携したりすることがあるという。
また、親族間で引き取りや財産管理をめぐる調整が必要になった場合には、関係機関との橋渡し役を担うケースもある。
一方で、相続登記や遺産分割協議などの法的手続きについては、別途専門家への依頼が必要となる。
こども家庭庁によれば、2024年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待相談件数は約22万3,000件に上り、過去最多水準が続いている。虐待対応の増加によって現場の負担は年々大きくなっており、こうした「親の急死による保護」ケースへの対応も重くのしかかっている。
また、一時保護所の定員不足も課題となっており、地域によっては保護が必要な子どもをすぐに受け入れられないケースもある。
児童相談所は重要な"つなぎ役"ではあるものの、相続問題を含め、すべてを解決できるわけではない点は理解したいところだ。
子どもだけでは相続できない…未成年者に立ちはだかる壁
相続は、本来であれば亡くなった人の財産を家族へ承継する制度だ。しかし、相続人が未成年の場合、実務上は多くの制約が存在する。
未成年者が相続手続きを進めるには、親権者や特別代理人などの関与が必要になるケースが少なくない。たとえば、残された親族と利益が対立する場合には、家庭裁判所で「特別代理人」を選任しなければならないこともあるだろう。
さらに、相続財産に借金が含まれている場合には、相続放棄を行うかどうかの判断も必要になる。
しかし、親の突然死という混乱のなかで、必要書類をそろえ、家庭裁判所への申立てを迅速に進めるのは容易ではない。相続手続きが長期化し、子どもの生活環境が不安定な状態のままとなるケースもあるからだ。
