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【連載】文房具百年 #73「紫鉛筆と毒の話」

【連載】文房具百年 #73「紫鉛筆と毒の話」

おまけのダーマトグラフ


 メチルバイオレット、ゲンチアナバイオレットが皮膚にマーキングするために使われていたと聞き、ダーマトグラフを思い出した。ダーマトグラフを知っているだろうか。太めの柔らかい芯が紙に巻かれた色鉛筆で、芯が短くなると軸に仕込まれた糸を引いて紙を破り、剝くようにはがして使う鉛筆だ。
 芯に油性分が多く、何にでも書ける色鉛筆のイメージだが、「ダーマト(Dermato)とは実は「皮膚」の意味で、もとは患部に目印をつけるために使われていた。同じ皮膚に使う鉛筆なので、ダーマトグラフにもメチルバイオレットは使われていたのではないだろうか。調べてみると、やはり以前は使われていたようだが、現在は安全性から使用されなくなっているとある。
 ダーマトグラフの芯は折れて飛び散るというリスクは低いと感じられるが、古いものにはメチルバイオレットが含まれている可能性が高いので、取り扱いに注意が必要だろう
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202606taimichi10.jpg*地球鉛筆のダーマトグラフ。日本語商品名が「地球皮膚用鉛筆」となっているところに歴史を感じる。戦前頃。

コピー用インクの実験へ


 今回、コピー用鉛筆について調べたことで、コピー用インキの危険性についても理解が進んだ。コピー用インキでコピーの実験をしたくて、何年も前にコピー用インキを手に入れたのはいいが、曖昧に「危険らしい」ということしかわからなかったので、開封もできず、扱いに困っていた。
 飛び散らせてしまったり、インクが付いた手で眼をこするようなことをしなければ大丈夫そうだということと、万一何かあればすぐに洗って眼医者に行く。(幸い自宅のすぐ近くに眼医者がある!)それを踏まえて注意して扱えば、開封して実験ができそうだ。
 おそらく100年ほどたっている「VIOLETTE NOIR」。日本語で濃い紫、または黒スミレ色はどのような色なのだろう。たくさんあるので、開けたら保存できるように移し替える瓶も用意しよう。こんにゃく版と直接紙を濡らすコピーと両方できそうだ。こんにゃく版を作るには何を用意すればよかったかな。 実験をしたら、その様子はまたこの連載で。

202606taimichi11.jpg *おそらく100年以上前のコピー用インク。未開封で中身が入っている。色はどちらもVIOLETTE NOIR。色表記はフランス語だが、右はイギリスから、左はフランスから購入。



※1:『毒の話 : 日常衛生』,広原精一郎 著 ほか文堂,明37.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/837123 (参照 2026-06-07)

※2:Dr.Silexの論文:タイトル: Über Augenschädigung durch Tintenstifte (インク鉛筆による眼の損傷について)、掲載雑誌: Archiv für Augenheilkunde(眼科学アーカイブ)、 第18巻 (Band 18)、1888年刊行

プロフィール

たいみち 古文房具コレクター。明治から昭和の廃番・輸入製品を中心に、鉛筆・消しゴム・ホッチキス・画鋲・クレヨンなど、幅広い種類の文房具を蒐集。 展示、イベントでコレクションを公開するほか、テレビ・ラジオ・各種メディア出演を通して古文房具の魅力を伝えている。 著書「古き良きアンティーク文房具の世界」誠文堂新光社

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配信元: 文具のとびら

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