その象徴が、いうまでもなく「MAGA」である。「Make America Great Again」という4語は、短く、覚えやすく、意味が広すぎる。だから強い。何をもって偉大とするのか、いつの時代へ戻るのか、どの政策で実現するのか。その中身は曖昧である。にもかかわらず、いや曖昧であるがゆえに、人びとはそこへ自分の不満や願望を自由に流し込める。 失われた雇用を思う者にも、国威の低下を嘆く者にも、文化の変化に不安を抱く者にも、この4語は自分向けの約束に見える。帽子や旗や集会を通じて視覚的記号にもなり、標語を超えて共同体の印となった。中身の不足が弱点ではなく、支持の広がりを生む器になったのである。