ロブロとともに歩んだデンマークの歴史
スモーブロの歴史は、ロブロの歴史とほぼ同じです。全粒ライ麦から作られるロブロは、何世紀にもわたってデンマーク人の食卓を支えてきました。
オーマン氏は、
「デンマークにおけるロブロは、日本におけるご飯のような存在」
と説明します。
王侯貴族から一般市民まで、誰もが食べる国民食。
そのロブロに、ラードを作るときに温度を上げるとカリカリとしたものが残る、そちらが上に載っているシンプルなものがスモーブロの原型でした。

その後、産業革命や保存技術の進歩により、燻製や塩漬け、マリネした具材を重ねるスモーブロとして洗練されていきました。
ところが第二次世界大戦後、工業化によって状況は一変します。
パンも具材も既製品が中心となり、本来の職人技が失われていきました。
スモーブロを再生させたオーマン氏
そんな状況に疑問を抱いたのがアダム・オーマン氏でした。
フランスやイタリア、コペンハーゲンで料理人として経験を積み、ガストロノミーの世界で働こうと考えていましたが、既製品で作られるスモーブロの現状(種類は多いけれど季節感もなく味は二の次、職人技が失われている)に憂慮し、自身のレストラン「Aamanns(オーマンス)」をオープン。
そこで取り組んだのがスモーブロの再構築です。
土台となるロブロは自家製。マリネ、発酵、燻製も自ら行い、季節の素材を使い、すべてを一から作る。
50種類以上あるのが当たり前だったメニュー数を12種類まで絞り込み、一品ごとの完成度を高めました。
オーマンスでは1つの具材を作るのに最低でも5つの仕込みが発生します。
12種類を作るには50~60の仕込みが必要になるため、これが最適なメニュー数なのだそう。
現在ではオーマンスは、伝統とモダンを融合させたスモーブロの名店として国内外から注目されています。
オーマン氏は、
「日本料理に触れると使用する素材は違っても、甘みと酸味のバランス、食感の重要性、発酵による奥行きを大切にした味付けなどの味の組み立て方に親近感を覚えます」と繰り返し話されました。
