
一方で、2025年4月には改正高年齢者雇用安定法の経過措置が終了し、これまで一部の企業で認められていた“基準を満たした人だけを継続雇用する”仕組みが廃止。希望者全員を対象とした65歳までの雇用確保が求められることになりました。70歳までの就業確保も企業の努力義務として位置づけられ、制度の上では、“残る”という選択肢はかつてより広がっています。割増退職金は数千万円規模に膨らみ、対象は40〜50代が中心。決断を迫られる中高年は、もはや少数派ではありません。
今回ご紹介するのは、2021年10月に公開され大きな反響を呼んだ実話インタビューから、退職金4000万円の上乗せに背中を押されて早期退職を選んだ、ある大手メーカー元営業部長の話。1300万円あった年収は、いくらになったのか。そして本人は、その選択をどう振り返るのか――。
記事の後半では、5年前の取材を踏まえつつ、いま改めて見つめ直したい“早期退職のリアル”について、最新データとともに考えてみます。
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◆退職金4000万円上乗せに背中を押され早期退職
大企業を中心に早期退職者募集が急増している。元大手メーカーの営業部長、宮脇信夫さん(仮名・59歳)も55歳のとき早期退職に手を挙げた。「会社は表向き否定していますが、どう見てもバブル入社組を標的にしたリストラです。僕の場合、退職金は4000万円を上乗せされました。早期退職後は、会社が連携する人材サービス企業による再就職支援で中小商社に部長として再雇用されたのですが、正直自分の選択を後悔しています」
◆辞めてわかった大企業の恩恵

「1300万円あった年収は700万円に減りましたが、何より堪えるのが、再雇用先での商習慣の違いや環境の変化です。あまり大きな声で言えませんが、社内の機密情報がすぐ流出したり、業務上の金銭トラブルに巻き込まれるなど、職場が殺伐としていて、これまでの『良識』がまったく通用しないんです。外に出てはじめて、自分がいかに大企業という囲いに守られていたかを痛感しました」

