一見、他愛もない会話に思えるが、その二人は大金で結ばれた“歪な関係”だった。昨年3月、東京・高田馬場の路上で動画配信中だった佐藤愛里さん(当時22歳)を刺殺したとして殺人などの罪に問われた高野健一被告(44)の裁判員裁判が、東京地裁(井戸俊一裁判長)で開かれている。
◆民事裁判の訴訟記録に残されていた“LINEのやりとり”

2023年8月1日、高野被告は原告となって、被告の佐藤さんに対して、未払いの貸金の返還を求めて宇都宮地裁栃木支部(大野健太郎裁判官)に提訴していた。
高野被告側が提出した訴状には、貸金返還請求に踏み切った経緯が記載されていた。
「被告は、(略)原告に対して、財布を忘れた、生活費が足りない、家出していてアパートを借りる費用がない、体調が悪く働けないなどとして、すぐに返済する旨述べて金銭の借用を申し入れてきた」
訴状によると、貸付は13回にわたって、合計254万4800円にのぼる。一度、佐藤さんは高野被告の要求に応じて3万円を返済したが、その後音信不通になってしまった——。
◆初対面から約1か月で始まった終わりなき借金のやり取り
高野被告側は貸金の存在を明らかにするため、甲15号証と甲16号証を提出。その書証は、今回の刑事裁判でも法廷で読み上げられた、両者間の歪な関係を露わにした“生々しいLINE”だった。民事裁判には、LINEアプリのスクリーンショットが書面化されており、4日間ほどで全38ページ。少なくとも500回も送受信されていた。佐藤さんは、高野被告と初対面を果たしてから1か月ほどが経過したころのことだ。
【甲15号証 2022年9月8日午後7時頃】
<申し訳ないんだけどさ、昨日日雇いバイト行った先に財布忘れちゃってまじ手持ちない状態だからちょいお金貸してほしいんよね。明日か明後日取りにいくときに返すから(土下座の絵文字)>(佐藤さん・以下同)
=略=
<数万いける?明日も取りに行けるのかくじつじゃないよ(涙を一つ出す顔文字)>
=略=
<4万でいいかな>(高野被告)
<お願いします(涙を一つ出す顔文字)>(佐藤さん)
連絡があった20分後、高野被告は佐藤さんの銀行口座宛てに4万円を送金した。

