筆者も物流システムを担う一員として、かつて現場で稼働していた。荷物を運ぶドライバーは毎日命懸けの環境に身を置いている。それにもかかわらず、労働環境は悲惨の一言だ。
筆者が間近で見た、某大手ネット通販企業に酷使される軽貨物ドライバーの現実をここに明かしたい。

◆200個の荷物を運ぶ一日が朝8時に始まる
荷物の積み込みを行う配送センターからさほど離れた地域に住んでいたわけではないが、それでも朝7時には軽バンに乗り込んでいた。朝8時にセンターへ到着してアルコールチェックを済ませ、荷物を積み込む。一日あたりおよそ180個から200個の荷物を午前便と午後便の二回に分けて積載し、担当エリアへ配達する流れだ。荷台へ隙間なく詰め込まれた軽自動車はハンドルが重く、後方視界も遮られるため、担当エリアまで移動する行程だけでも体力を消耗する。だいたい9時半から10時頃に現地へ到着すると、狭い範囲に散らばる配達先を回っていく。しかし、東京都心は道路が狭い。車を一時停車させる瞬間さえ細心の注意が必要であり、5分を超えれば駐車監視員に摘発されて罰金が科される。道路事情に気を取られすぎると、今度は配達スケジュールが遅延していく。仮に数個を配り残しても日当制の契約であったため、報酬自体は変動しない。とはいえ、元請け会社の担当者や配送先のお客さんから強烈な嫌みを言われるため、不在以外の荷物は意地でも配りきっていた。
◆「19時以降指定」と「夜間不在」が重なると…
そうして14時前に午前中の配送を終えると、再び午後の荷物を積み込むためにセンターへ戻る。15時に積み込みを終えて再びエリアへ向かう。午後の配達を迅速に終わらせれば早期に帰宅できると思うかもしれないが、「19時以降」の指定枠が存在するため、仮に他の荷物を配り終えても配達先の近辺で待機を強いられる。さらに厄介な問題が、夜間の不在だ。持ち戻った荷物を翌日まで車内に放置するわけにはいかないため、一度センターに戻って荷物を下ろさねばならない。一連の業務を終えると時刻は20時を過ぎ、帰宅できるのは21時前となる。過酷なサイクルを週5日、雨風に関わらず継続しなければならなかった。

