社員を信じるために、不正を防ぐ「仕組み」づくりを
川崎社長はその後、弁護士と社労士を交えて土田部長と冷静な話し合いを行いました。
結果として土田部長は自主退職(合意退職)という形をとり、不正金850万円については、土田部長の個人資産の売却と、公正証書による分割弁済(毎月12万円の支払い)で合意しました。
現場の職人たちに対しては、川崎社長自らが時間をとり「これまでの土田部長の功績には深く感謝しているが、会社として絶対に見過ごせない金銭的不正があった」「これからは皆の頑張りを、正当な給与や賞与として還元する仕組みに変えていく」といった旨を誠実に説明しました。
結果として、離職者を1人も出すことなく、会社は以前よりも強固な組織へと生まれ変わりました。
「社員を信じること」と「確認・検証をしないこと」は同義ではありません。本当に大切な社員であるならば、彼らが「万が一にも魔が差すことのない環境」を作ってあげることこそが、経営者としての最大の愛情であり、本当の意味での「信頼」ではないでしょうか。
いまの社内体制に少しでも不安を感じる部分があれば、手遅れになる前に、足元の社内ルールの見直しから始めてみてください。
内海 正人
社会保険労務士法人 日本中央社会保険労務士事務所 代表社員
社会保険労務士/人事コンサルタント
