「認知症じゃない?」と言っただけで、家族の空気が変わった

ただ、“認知症”という言葉を受け止めるのは、家族にとって簡単なことではありませんでした。
「“年を取れば忘れることくらいある”って、逆に私が責められたんです」
“認知症かもしれない”と言ったことで、家族との空気がギクシャクしたこともあったそう。
その後、病院を受診し、認知症の初期と診断。脳の萎縮も始まっていました。
医師からは、「できるだけ生活環境を変えない方がいい」と言われたそうです。
一緒に暮らす介護ではなく、“通う介護”を選んだ
当初は、一緒に暮らすことも考えました。実際、一度は母を自宅へ連れてきたこともあります。ですが――。
「10分、20分おきに“家に帰りたい”って言うんです」
夜も眠れず、不安定になっていった母。慣れない場所にいること自体が、大きなストレスだったのでしょう。
「やっぱり、“自分の家”が安心なんだと思いました」
そこで選んだのが、“通い介護”でした。
朝は実家へ行き、デイサービスへ送り出す。昼に食事の様子を見に行き、夜は寝る準備を整える。そんな生活を、今も続けています。

