「同じように悩んでる人がいるかもしれない」Instagramを始めた理由

Instagramで発信を始めたきっかけも、“認知症介護”でした。
実家を片付ける中で、えんこさんは気付きます。
「認知症になると、“片付けられなくなる”って、すごく初期症状としてあるんじゃないかなって」
家の中が急激に荒れていくこと、本人はその変化を認められないこと……。
「同じように悩んでる人の気付きになればと思ったんです」
最初は、母の姿を出さず、“片付け投稿”が中心でした。ですが、
「“救われました”ってコメントをいただくうちに、もっとリアルを伝えた方がいいのかなと思うようになって」
少しずつ、介護の実情や母との日常も発信するようになったそうです。
更年期と介護が重なり、“全部投げ出したい”と思ったことも

介護を始めた頃は、「自分ががんばればなんとかなる」と思っていたそうです。
ですが、半年ほどで限界が来ました。
「ちょうど更年期とも重なって、自分のイライラと介護のイライラがダブルで来てしまって……」
今振り返ると、3年ほど前がいちばんつらかったといいます。
「“ちゃんと介護しなきゃ”“私が見なきゃ”って、自分で自分を追い込んでいました」
気付けば、母に優しくできない日もあったそうです。
「母にイライラしてしまう自分にも、また落ち込むんですよね」
そんなとき、福祉関係の先輩から言われた言葉が、大きな転機になりました。
「24時間365日、一緒にいない方がいいよ」
“介護は、がんばりすぎると続かない”。
その言葉をきっかけに、介護サービスをフル活用するようになりました。
「自分を守ることも、介護には必要だった」
今、えんこさんが大切にしているのは、“自分を潰さないこと”。デイサービスに行っている間は、あえて介護から離れます。
「行き詰まったら、外へ出たり、美味しいものを食べに行ったりしていました」
友人と話したり、以前飼っていた愛犬と出かけたりする時間も、大切なリフレッシュだったそうです。
「自分を守ることって、介護を続けるためにも必要なんですよね」
それは、6年間介護を続けてきたからこそ、たどり着いた実感でした。
50代は、親も自分のことも大事にしなきゃいけない年代

最後に、50代女性へ向けてメッセージを聞くと、えんこさんは少し考えてから、こんな言葉を話してくれました。
「介護って、本当に突然始まるんです。だから、親が元気なうちに、できるだけ会っておいた方がいいと思います」
一緒に食事へ行く。
少し電話をする。
何気ない時間を過ごす。
そんな“小さな普通”が、あとからすごく大事な思い出になるといいます。
「認知症が進むと、“普通に会話できる時間”って、少しずつ減っていくんですよね。だから、“もっと話しておけばよかった”って思うこともあって……」
そしてもう一つ、今の自分だからこそ伝えたいことがあるそうです。
「50代って、更年期だったり、自分の体調の変化も重なるじゃないですか。だから、自分のこともちゃんと大事にしてほしいんです」
介護は、がんばりすぎると続かない。
「全部自分でやらなきゃって思わなくていい。頼れるものには頼っていいし、休める時は休んでいいと思います」
“誰かを支える”ためには、まず自分が元気でいること。
えんこさんの言葉には、同じ50代だからこそのリアルな重みと優しさがありました。
えんこ プロフィール

認知症の母を介護しながら、実家片付けや介護の日常をInstagramで発信(@enkookan_kurashi)で10分の実家へ毎日通う“通い介護”を6年間続けている。母が営んできたお好み焼き店も、家族とともに無理のないペースで継続中。更年期と介護が重なった経験から、「頑張りすぎない介護」をテーマに、同世代へ向けてリアルな気づきを届け人気を博している。
現在、HALMEK upアンバサダーにも参画。
取材・文=鳥居 史(ハルメクアップ編集部)

