◆精神科入院を決断
――東さんが精神科に入るまでの状況が理解できました。そしてうつ状態になるんですが、どのような日常でしたか?東:本当に悪化したときは、半分寝たきりみたいな状態になっていたんです。それに仕事や家事ができないプレッシャーを感じて辛くなっていたので、負のループにはまっていた状態でした。
――最初はホルモンバランスを崩したから婦人科に行ったんですか?
東:そうです。婦人科に行って、ホルモン治療を受けていましたけど改善しなかったし、おそらく適切な選択ではなかったと思います。その後、とても評判のいい精神科の先生のところへ行ったら「半年も放置していたんですか。かなりひどい状態ですね」と言われ、「まずは何も考えず、ゆっくり休んでください」とアドバイスされました。
――その頃は、食事やお風呂、着替えも難しい状態だったんですか?
東:一番できなくなったのは食事だったので痩せました。何をするにも、のろのろという感じだったから、お風呂に入るのもすごく時間がかかっていたと思います。わかりやすく言うと、体が重だるいし、思考できる範囲がどんどん狭くなっていく感じですね。よくパソコンで例えるじゃないですか。CPUが考える力だとすると、その処理能力自体が落ちてしまうんです。考えられる能力が普段の三分の一ぐらいに落ちてしまうんです。
――日常生活で一番大変だったことは何ですか?
東:「自分には価値がない」というネガティブな考えがどんどん強くなっていったことですかね。家のこともまともにできなくなっていくほど、その思いは深くなり、それに伴って、彼と二人でいるのが辛くなっていったんです。愛すべき人と一緒にいることが辛くなってしまったのが、一番苦しかったと思います。希死念慮に近いことはあったんですけど、実際に行動しようという考えはなかったです。
――そこでやっと精神科に入院することになるわけですね。
東:そうです。
――入院して1か月くらい経った頃に、一方的に別れを切り出され、一緒に住んでいたマンションも引き払われ、住民票も実家に移されたんですね。
東:本来、パートナーは相手が病気になったときこそ支え合うものだと思います。でも彼は、私が入院している最中に、一方的に別れを告げ、二人で暮らしていたマンションも解約し、住民票まで私に断りなく実家へ移してしまいました。心も体も一番弱っていたときに、女性としての尊厳も、生活の基盤も、まとめて崩されたんです。
――なぜそこまで冷たくなったんでしょう?
東:私自身、レスのことで悩んでいたことを彼の両親に相談したことがあるんです。
――結婚相談所で知り合って、結婚が前提のお付き合いなので不思議な話ではないです。
東:私はそのことを泣きながら相談したんです。そのことが彼のプライドを傷つけたのかもしれませんね。彼からすると「自分の親にまで、プライバシーにかかわる相談をするパートナー」という認識になったのかもしれませんけど、どうして冷たくなったのか、本当の理由はわからないんです。最後までただ「別れてくれ」で終わりました。
◆入院中に住む場所も失った
――入院生活自体はどうだったんですか。東:病院内では、散歩をしたりしていましたけど、やることはあまりなかったです。ただ、スマホを持ち込める病院だったので、昔好きだったゲームを気晴らしにやってみたり、少しでも元気になりたくてネット配信を見たりしていました。食事も唯一の楽しみだったので、配膳された食事を見て「今日のご飯はこれか」と写真を撮ったりもしていました。
――リラックスするための環境だったんですね。
東:休むことができたので、少し安心もしていました。でも依然として性欲はあったんですよ。レスだったことや性の問題について主治医に話したら、その内容がなぜか彼に伝わったらしくて、それで怒ったらしいんです。やっぱり彼とは性の問題が最後の対立点だったのかもしれませんね(笑)。
――面会には誰か来てくれたんですか?
東:私の両親だけでした。
――どれくらい入院していたんですか?
東:2~3か月くらいです。1か月くらいで少し回復してきたところで、彼から別れを切り出されたから落ち込んだので、入院が少し延びた感じでした。
――入院中に住民票を実家に戻されて、荷物も全部出されたんですか?
東:私の荷物を捨てるか引き取るかしてくれと、私の両親に連絡したそうです。それまで一緒にコミュニケーションを取り、生活していた彼を知っているので、その話を聞いたときは現実感がなくて、本当の話なのかなって驚きました。

