フルリモートの医療事務になった男性に、10年間で経験した部署立ち上げや採用について聞いてみた

フルリモートの医療事務になった男性に、10年間で経験した部署立ち上げや採用について聞いてみた

医療事務の部署立ち上げが「10年間で一番過酷」

──それぞれの病院の在籍期間はどれくらいでしたか?

1つ目の病院では5年ほど、その後異動して2つ目の病院で3年ほど働いたあと、3つ目の病院では立ち上げを経験しました。

──「立ち上げ」とは何でしょうか?

私が所属していたような委託会社は、医療事務業務を病院から受託するための競争入札に参加し、受託が決まるとゼロから部署を立ち上げる仕組みになっています。前の委託会社から引き継ぎを受けたあと、スタッフを社内外から集め、新たにマニュアルなどの制度を整え、病院のスタッフとの関係を構築するんです。これら一連の立ち上げの責任者を任されました。

インタビューに応じるゆうさん
「この頃から採用も担当するようになり、アルバイトも含めて70人ほどのスタッフをマネジメントしていました」

──新規部署の立ち上げとは、かなりの大仕事ですね。

長時間残業が当たり前の毎日で、この10年間で一番過酷でしたね……。正直、長くは続けられないと思っていましたが、徐々に体制が落ち着いてきたところで後任に任せることができ、2つ目の病院にまた戻ることになりました。

──10年も続けていると、「仕事を辞めたい」と思う瞬間もあったのでは?

ありますね。実は、最初の異動は「辞めたい」と上司に相談した結果だったんです。当時は忙しい職場でしたし、自分よりも経験豊富なスタッフを管理する立場にプレッシャーを感じていました。それを上司に相談したところ、「それなら落ち着いた環境の病院へ移ってみようか」と提案され、異動することになったんです。

今思えば、このような異動は委託会社で働くメリットかもしれないですね。直接雇用だったらその職場に居続けるか辞めるかの2択になりやすいですが、異動という選択肢があったおかげで、10年間もひとつの会社で続けられました。

──一度は退職まで考えたのに、その後立ち上げの責任者を引き受けるとは、よく覚悟されましたね。

チャンスをいただけたら、ひとまずやってみる性格なんです。あとは最初の病院でつらい時期もありましたが、2つ目の地域密着型の病院では穏やかな職場環境だったので、一度リセットされたのかもしれませんね。

立ち上げの経験も、今振り返れば良い経験をさせてもらったと思います。「またやりたいか」と聞かれたら、そう簡単に首を縦には振れませんが(笑)。

──立ち上げ後、もともと居た2つ目の病院に戻って、その後はどうなりましたか?

2つ目の病院に戻ってからは、引き続きマネジメントや採用業務の責任者を続けました。スタッフたちから「あんた戻ってきたんか」と言われるような気心の知れた環境なので、落ち着いて仕事に向き合うことができました。

そして、この10年間でマネジメントから採用、新規立ち上げとひととおりを経験し「やり切った」と思えたので、転職することに決めました。

──その転職先が、現在フルリモート勤務しているオンライン診療の会社ですか?

そうです。実はこれまで通勤がかなりの負担になっていました。最初は地元の病院でしたが、2つ目・3つ目の病院は車で片道1時間ほどかかっていたんです。平日は家族と顔を合わせる時間があまりに短くて、どうにかしたいと思っていました。

フルリモートで働ければ、医療事務以外の仕事でもいいと思っていましたが、結果的に医療事務の仕事で採用してもらえました。

年収は下がっても実質プラス? フルリモートの医療事務とは

──フルリモートの医療事務は珍しいと思いますが、どのように見つけましたか? また、選考過程で特徴的なことがあれば教えてください。

とにかく求人が少ないので、複数の求人サイトに登録して、地道に探し続けました。実際に見つけたフルリモートの医療事務求人は5件程度で、すべてに応募し、そのうちの1社で採用されました。

選考は書類選考、リモート面接1回、算定の実務テストという内容でした。面接では「Slackなどのチャットアプリが使えるか」とは聞かれましたが、ITに関しての専門的な質問はそこまで多くはなかったです。どちらかというと、医療事務としての現場経験に関する質問が多く、実績を重視されました。

──経験者が求められたんですね。フルリモートでの業務内容や働き方はどうですか?

オンライン診療の算定業務を担当しています。資格証の確認などの受付業務は別のスタッフが担当しています。

勤務中は同じチームのスタッフと常時ビデオ通話をつなぎながら作業をします。お互いの様子が見えるので、相談したいときはすぐに声をかけられて、対面と変わらない感覚です。また、チャットツールで連絡することもできます。

朝8時にパソコンをつけて始業し、定時の17時には仕事が終わります。すぐにプライベートの時間に切り替えられるので、もう前の働き方には戻れないですね。平日ほとんど話せなかった子どもたちとの時間も十分取れるようになりました。

インタビューに応じるゆうさん
空いた時間を活用し、転職後はブログやSNSで医療事務にまつわる情報発信も始めた

──家族の時間が取れるようになったんですね。反対に、リモート勤務によるデメリットはありますか?

ずっと座りっぱなしなので、腰が痛くなることですかね(苦笑)。また、業務内容としては少し物足りなさを感じることもあります。オンライン診療では風邪や皮膚トラブルなどの比較的軽度の症状で受診されることが多いので、算定内容もあまり変わり映えしない傾向があります。

それでも、少し余裕のある働き方が、今の自分にはちょうどいいです。

──給与面も気になるところです。リモート勤務になり変化はありましたか?

転職して年収は50〜60万円ほど下がり、400万円くらいです。ただ、前職はかなりの残業をしたうえでの金額でしたし、通勤でガソリン代を月2万円ほど自己負担していました。今は残業がほぼゼロで、長距離通勤によるガソリン代や車の維持費もかかりません。そう考えると、年収は下がっても実質的にはプラスになっていると思います。

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