
企業の経営者のなかには、いまだに大学生のインターンについて「職場体験」「給料は不要」という認識の人がいます。しかし、給料がいらない「体験型インターン」と「有償インターン」には明確な線引きがあります。これがあいまいだと、未払い給与の問題のみならず、「ブラックインターン」というパワーワードとともに学生のSNSで情報が拡散され、会社の評判を大きく損なうリスクがあるのです。本記事では、社会保険労務士の山本達矢氏が解説します。
「インターンの大学生に給料払わないとダメ?」「…ええっ!?」
「社労士さん、インターンの大学生さんって給料払わないとダメ?」
大阪市内のIT企業を訪問した際、社長からこんな質問を受けました。聞けば、夏休みに大学3年生を2週間受け入れる予定で、「せっかくやから、実際の案件のコーディングも手伝ってもらおうと思ってる」とのこと。
「社長、それ、条件次第では立派な労働ですよ」
社長はきょとんとした顔です。
「え、バイトじゃないですよ。インターンって職場体験でしょ? 体験させてるんだから、むしろお金を払ってほしいくらいだよ?」
この認識のズレこそ、今回のテーマの核心です。
境界線を決めるのは「名称」ではなく「労働者性」
インターンシップに給与の支払い義務があるかどうか。その答えは、そのインターン生が労働基準法上の「労働者」に該当するかどうかで決まります。
労働基準法第9条は、労働者を「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義しています。行政解釈(平成9年9月18日 基発第636号)※1では、インターンシップにおける実習が見学や体験的なものであり、企業側から業務に係る指揮命令を受けていない場合は労働者に該当しない。その一方、直接生産活動に従事するなど、その作業による利益・効果が企業に帰属し、企業と学生との間に使用従属関係が認められる場合は、労働者に該当するとされています。
つまり「インターンシップ」という看板を掲げていても、実態が「労働」なら賃金支払義務が発生する。逆にいえば、インターンシップという看板は免罪符にならないということです。
※1 厚生労働省「労働基準法における労働者性の関連通達」(https://www.mhlw.go.jp/content/001462702.pdf)36ページ
