自ら設計した6帖のスモールハウスで夫と別居生活を始め、東京都・檜原村で暮らす内田恭代さん(58歳)。「もう離婚したい」と思うほどストレスフルだった夫婦関係は、別居を機に一変。現在は円満な関係を維持できている。
だが、その飄々とした語り口からは想像もつかないほど、波乱万丈な人生を歩んできたらしい。思いもよらない裏切りを経験しながらも、たどり着いた“小さな家で豊かに暮らす”生き方とは――

◆夫と別居して始めたスモールハウス生活

内田:長年インテリア職人として働き、天然素材にこだわった建築を追求しているうちに、伝統構法に辿り着きました。まず、弟の別荘を伝統構法で建てようと、できる限り自然素材の木材を使って造ったんです。でも当時の建築基準法には制約があって、なかなか納得のいくものができませんでした。
のちに10㎡以内の木造建築であれば建てられると知り、「それなら私専用の家を6帖で建てよう」と思いついたんです。3帖のリビングに3帖のロフトと台所。図面を描いて、材料を集めて、職人さんを探して……。工期はわずか2ヶ月。ようやく自分が納得できるスモールハウス「六帖軒(むじょうけん)」を完成させました。400万円のローンも私一人で完済しました。その後、隣に焚き火をするための小屋「二帖所」も造りました。
当時、夫と暮らしていた自宅から徒歩1分ほどの場所にある120坪の土地を親から譲り受けていました。隣には別に、弟の別荘として建てた100坪の土地もありました。その120坪の土地に6帖のスモールハウスを建て、私がそこへ引っ越したことで、当時は親から120坪の土地を譲り受けていて、その敷地には弟の別荘と、夫が暮らす母屋、私のスモールハウスが建っていました。私がその6帖の家へ引っ越したことで、夫との別居生活が始まったんです。
◆今は「楽しくてしょうがない」
――実際に別居生活を始めてみて、旦那様との関係はどう変わりましたか。内田:もう、楽しくてしょうがない。一緒に暮らしていた頃は、「離婚したい」と思うくらい、しょっちゅうイライラしていたんです。夫は私より14歳年上で、鼻をすすったり、口をぺちゃぺちゃさせたりする音が気になって。
でも、別居すると夫が「親切なご近所さん」に変わるんですよ。たまに料理を作り過ぎたら分けてあげたり、ご飯を食べに来たりする程度の関係性に。夫も「一人は気楽で楽しい」と言っています。
息子2人とも社会人になって独立したんだから、私たち夫婦も独立しよう、と。私は夫に「達者でね」と言って、それまで住んでいた家を後にしました。お互いにいっさい干渉しない暮らし。ストレスもなく、楽しいですよ。

