◆借金1億円を背負うも、不安はなかった
――その後は、どのようなお仕事をされることになったのでしょうか。内田:私がこんな辞めさせられ方をしたことを息子に話したら、「すぐ僕の会社を手伝って」と言ってくれたんです。息子は、親の会社を辞めた後、自分で小さな建設会社を立ち上げていました。
当時は、自宅と他の工場を間借りしながら細々とやっていたので、銀行から1億円を借りて、中古ビルを買って、会社をきちんと作り直しました。アパート経営も始めて、ありがたいことに会社は急成長しましたね。
――1億円という大きな借金に、不安はありませんでしたか。
内田:不安よりも、「やるしかない」という気持ちでした。会社を乗っ取られたときもそうなんですが、私は「災害に遭ったようなもの」と考えるんです。なくなったものは、もう仕方がない。ゼロからやり直せばいい。そう腹をくくると、不思議と周りが助けてくれるんですよ。
――失うことを前向きに受け止められるのは、なぜなのでしょうか。
内田:捨てると入ってくるものがいっぱいあるんですよ。会社を乗っ取られたことも、さっと諦めました。もう本当にゼロの状態からの再出発でしたけど、そうすると、いろんな人が助けてくれる。仕事も入ってくるんです。
だから私は、「捨てること」は悪いことじゃないと思っています。

【秋山志緒】
大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle

