◆【タイプ②】自分の思い通りにならないと偉い人に嘆願
![[隣の(毒)社員]撃退マニュアル](https://assets.mama.aacdn.jp/contents/210/2026/7/1785456085731_c8u0u5rh44t.jpg?maxwidth=800)
「我が社の“毒”は31歳の男性社員。経験と面接で見せたやる気を買って、AD(アシスタント・ディレクター)で採用したのですが、ロケ弁選びに2日かけるほど仕事が遅く……。それでいてプライドだけは高いので、気に入らないことがあれば訴えを聞いてくれる人が現れるまで会社の組織図を遡上していくんです」
自分の意見が通るまで中間管理職たちの頭上を飛び越す彼は「ヤドクガエル型」だ。
「あるとき『30代でAD』という事実に嫌気が差したようで、別の同僚ADがAP(アシスタント・プロデューサー)に肩書を変える噂を聞きつけ、即便乗。人事部長に『僕もAPの名刺が欲しい』と訴えていました」
APの名刺をもらうことができたことで味を占めた彼の暴走は、これで終わらない。
「数か月前、今度は社長に『番組を持ちたい』『僕にも仕事をください!』と直訴。結果として3本を任されたものの、あっという間にキャパオーバーで空中分解。『僕ばかり忙しい!』と夜中に会社の壁を蹴って暴れていたことも。結局再び社長の元へ走り、泣きながら『番組を降ります』と仕事を放り出しました」
中でもひどかったのは、収録現場で折り合いの悪いディレクターと揉めたときのこと。
「本来なら社内で収めるべきところを発注元のテレビ局社員に『彼を担当から外してほしい』と懇願、先方も啞然としていました」
◆「ヤドクガエル型」毒社員の深層心理
社内組織構造自体を破壊しかねない「ヤドクガエル型」毒社員の深層心理を、精神科医の益田裕介氏は次のように読み解く。「自分の能力不足や弱さを直視できないことが、過剰なプライドに繫がっている。視野が狭く柔軟性に乏しいと、困難な局面で『ここが正念場』と前向きに切り替えられません。結果的に誰かに助けてもらう以外の選択肢を見つけることができないのでしょう」
山下氏は、根底にあるのは強い無力感だと指摘する。
「このタイプは素の自分を無力だと感じているからこそ、面接で自分を大きく見せて経験ややる気を過剰にアピールしたり、頼る相手を常に探したり、“付属品”で勝負しようとします。やる気だけで採用すると、それが尽きた途端に離職しかねません。企業側も実績とスキルを精査する採用基準を作るべきですね」
安藤氏によれば、「ヤドクガエル型」毒社員発生の原因は企業の価値観の変化にある。
「多様性が重んじられる今の時代では、『職場ではこうあるべきだ』といった共通の規範やモラルが成立しにくくなった。公私の境目が薄れて、職場がプライベート化した空気こそが、権利を逆手に取り歪んだ主張をする人材を生む一因です。ただ最大の問題は、社長がこの男性社員の言い分を聞き入れてしまっていること。本来は『直属の上司を通しなさい』と突き返すべきで、それを怠れば中間管理職の存在意義が失われ、組織の規律そのものが崩れかねません」
毒が毒たる理由と組織の穴を知ってこそ、有効策が初めて見えてくるのだ。
ヤドクガエル型毒社員
危険度:★★★★★
撃退方法:採用基準を見直す水際対策で、過剰なやる気アピールを無効化。管理職同士が連携して「直属の上司に言うように」と、指示を徹底。

