◆【タイプ④】申し訳程度に褒めたらあとは否定の嵐
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都内の通信会社でテレフォンオペレーターを務める江藤知美さん(仮名・28歳)。彼女の所属部門長の42歳女性社員は社会が生み出した「ラッパウニ型」毒社員だ。表面が白いラッパ状の叉棘に覆われた姿はまるで花束のよう、だが実はすべて毒のトゲなのだ。
「私の職場は親会社である大手通信会社の風土を色濃く継いでいます。特にコンプライアンスに関する部分は顕著で、ハラスメント研修は3か月ごとに実施。そのせいか管理職は“ハラ認定”を異常に恐れているように感じます」
あるとき住所入力を一字誤るミスをした江藤さん。反省し、面談での叱責を覚悟していたのだが、部門長は「江藤さんは発声が美しくて、顧客満足度アンケートも上位よね!」とべた褒め。予期せぬ賞賛にほほを緩めたが……。
「その直後に表情を曇らせ、徐々に“本音”が出てきたんです。『でも今回のミスは致命的。組織のガバナンスは崩壊するし、勤務態度も緩んでるし最近プロ意識が足りないんじゃない?』と次々と溢れる人格否定に近いダメ出しに、最初の絶賛はハラスメント回避のための“形だけ”だったんだと気づきました」
持ち上げられたのちに奈落に落とされた江藤さんは激しく落胆。以来、上司に褒められるたびに、疑心暗鬼の日々を送っているという。
◆上司として最も大切な部分が欠落
安藤氏はこのケースに対し「上司として最も大切な部分が欠落している」と断じる。「『まず褒めてから』という研修で教わったフィードバックの型をそのまま実践しているのでしょうが、本質は信頼と尊重を築くための行動。結果的に人格否定していては意味がありません」
益田氏は、こうした行動は人間の本質と分析する。
「言い訳ができるギリギリのラインで相手を攻撃するというのは人間の性と言えます」
このタイプには「攻めが有効」と説くのは山下氏だ。
「『いじめっ子』気質な上司は、『いじめられっ子』気質も備えています。主導権を握って仕事の質問や愚痴などをし続けることで“曲者”認定されて話しかけられなくなり、いつ干渉されるか怯えずに済みます」
攻撃こそ最大の防御なのだ。
ラッパウニ型毒社員
危険度:★★★
撃退方法:言い訳のできるギリギリラインで攻撃してくるのは人間の性。質問と愚痴を相談しまくることで“曲者”認定されるべし!
◆【タイプ⑤】一切感情を挟まぬ無情なまでの合理主義
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「入社4年目で営業部から異動してきた女性社員は、TOEIC900点の帰国子女。自己主張は強いが、主体性があり、今どき珍しい優秀な若手だと期待していました」
内部監査はルールの押しつけではなく相手との信頼関係を築きながら改善を促す仕事。だが、彼女は違った。
「規定やガイドラインで理論武装して正論で押し通す。間違ってはいませんが、相手に一切配慮しないから、監査先との関係は悪化しました」
その姿勢は業務でも同様だ。
「勉強も兼ねて監査報告書の翻訳を任せると、『英語がわかる人だけ読めばいい。時間の無駄です』と拒否。英語の苦手な社員にも共有したいという思いも彼女には“非効率”でしかありませんでした」
その合理主義は、退職時にも徹底されていたという。
「家族手当など、制度や権利は徹底的に使い切るタイプで有休50日の消化も当然という考えです。もちろん権利なのでそれ自体を責めるつもりはありません。ただ、転職は事後報告で、引き継ぎだけ協力してほしいと頼むと、『後任が決まらないのは、あなたのマネジメント能力が低いからでしょ』と一蹴された。ルールの範囲で自分の利益は最大化する。その一方で、関係性や義理など人の感情の部分は、最後まで彼女の“合理性”の中では、一切考慮されませんでした」
◆本人は会社に貢献しているつもりだから厄介
安藤氏は、このケースに対し、「本質は合理性ではなく、自分らしさを受け入れられない点にある」と分析する。「英語力や留学経験、高学歴など、“肩書”や“能力”といった付加価値で自我を保っているタイプです。正論を振りかざしますが、本人は会社に貢献しているつもりだから厄介。『なぜこの仕事が必要か』目的を丁寧に説明し、合理性だけでは測れない価値を理解してもらうことが大切です」
人の数だけ正義やモラルがあるからこそ、正義は人を追い詰める毒になり得るのだ。
カツオノエボシ型毒社員
危険度:★★★★★
撃退方法:貢献したいという点では同じ目標を持った仲間。「なぜこの仕事が必要なのか」を根気よく丁寧に説明すべし。
【ライフサポートクリニック院長 精神科医 山下悠毅氏】
依存症治療と自己肯定感を高める認知行動療法を専門とする。著書『依存症の人が「変わる」接し方』(主婦と生活社)など
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人材研究所ディレクター。採用や研修、評価制度構築を手がける。著書に『転職はタイミングが10割』(東洋経済新報社)など
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精神保健指定医。YouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するch」で、メンタルヘルスに関する知見を発信中
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取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/田川秀樹
―[[隣の(毒)社員]撃退マニュアル]―

