そんななか、燦然と輝いているのはラーメン60分勝負での35杯という金字塔だ。同大会の2020年優勝者・MAX鈴木が残した杯数で、この記録に関しては今回の『大食い王』でも破られていない。
そのMAX鈴木に、今年の『大食い王』を総括してもらった。それだけでなく、大食い界の過去と未来、テクニック論、大食い能力を伸ばすためのトレーニング方法なども今回は語っていただいている。
まずは、今大会で優勝を果たした“超食い”Ryuに対する評価を聞いてみた。

◆本命“超食いRyu”の圧倒的な成長
――今大会の優勝者であるRyuさんの戦いぶりはどう分析されましたか?MAX鈴木:初登場から段階を経て順調に強くなっていき結果を残したんだな、というのが正直な印象ですよね。
――『大食い王』でのこれまでの戦績は、2024年準決勝敗退、2025年準決勝敗退、2025年秋が3位。惜しい順位が続いていたRyuさんですが、今大会の優勝は予想できましたか?
MAX鈴木:もうグリグリの本命というか、Ryuさんとカワザイルさんの2人が本命・対抗のどちらかかなという感じでした。「今年の有馬記念はこの2頭が抜けているね」というイメージです。
――大食いファンの間でも「戦績には表れていないものの、胃袋の容量はRyuが一番なのでは?」という声が多かったです。
MAX鈴木:容量のマックス値だけで言うと、僕はRyuさんではないと思うんですよ。今回は決勝で負けちゃいましたけど、過去の優勝歴もあるていねい木下さんが頭一つ抜けていると思うんですね。ただ、総合力でいえばRyuさんを本命視していました。
――Ryuさんのどこが秀でていたのでしょうか?
MAX鈴木:勝てない日々が続いているけれどある程度現場慣れもしてきて、着実に実力の階段を上っているだろうと。本人もそろそろ結果を出したいだろうし、タイミングもすべて良かったんじゃないかと思いますね。
――Ryuさん本人は「今が自分は一番強い。圧倒的なところを見せたい」と口にしていましたが、MAXさんから見てRyuさんの成長を感じた理由は?
MAX鈴木:今、大食いはSNSやYouTubeで個人発信できるので、周囲からも実力がなんとなくわかるんですね。本人の発言だったり、配信でやっている内容を見て「明らかに強いな」というのはわかりやすく見えてきました。
あと「この人、強烈になにかを意識しているんだろうな」というのは雰囲気でわかるんですよ。なんの目的もなく「遊びでやってます」という人とは違い、「明らかに結果を出したいんだろうな」という、その思いは彼が一番強かったです。
◆自分のラーメン記録を抜いてほしかった
――今回の『大食い王』の決勝はラーメン対決でした。今大会は「現役ファイターが過去のレジェンド記録を破る」というテーマが前面に押し出されており、決勝でRyuさんが弾き出した記録は32杯でした。つまり、MAXさんのかつての記録である35杯には届かなかった。この記録はご自身で盤石だと思いますか? それとも、じきに破られる?MAX鈴木:破られないといけないんじゃないかなと思います。記録って抜いてこそ価値があるじゃないですか? 僕の気持ちとして「抜かれたくない」というのはまったくなくて、「抜いてほしかったなあ」が正直な気持ちですね。
――いっそのこと。
MAX鈴木:記録はただの記録であって別に固執してるわけでもないし、自慢するつもりも毛頭ないし、ただの結果なんで。ただ、業界が盛り上がってほしいというのはすごくあるので「ああ、抜かれなかったのか。抜いてほしかったな」というのはありました。
現役の第一線で戦っていた頃の自分でも、同じことを思うと思います。なぜなら、もしもRyuさんが俺の記録を超えて「36杯食べました」という結果を見せたら「人間はここまで行ける可能性があるのか」「ほかの人が行けるんだったら、俺だって37杯食べられる」と思うことができる。見方として、僕はそういう感覚です。

