◆実力派の新人ゆえに干された過去も
――先ほど、「この2年間はいろいろなことがあった」と伺いましたが、トレーニングでつらいことがあったのでしょうか?Ryu:トレーニング以外にもいろいろありました。大食い界に入ってすぐ、業界ではメジャーなとあるYouTubeのコンテンツへ呼んでいただき、MAX鈴木さんとの大食い対決で僕が勝ったんですね。
すると、そこからピタッとお声がかからなくなり「力を持っている人たちから距離を置かれている」と感じるようになりました。
――つまり、出る杭が打たれるような?
Ryu:でも、逆に動きやすくなりました。そこからは全国の大食い記録を片っ端から塗り替えていったんです。現役最強の大食いファイターになれたら、そこでやっとスタートラインだと思っていたので。発言権を得て、業界を盛り上げるために、みんなが今まで言ってこなかったことを口にしていく。
――それは、大食い業界に対して?
Ryu:そう、業界に対してです。あと、ファンの人たちにも見る目を持ってもらい、本物と偽物を区別してもらいたいと思っています。
つい最近も、食べていないデカ盛りメニューをまるで食べきったように編集した大食い系YouTubeチャンネルが炎上していましたよね。5㎏しか食べていないのに「7㎏食べました」と言ったり、トイレへ離席したのにその場面をカットしたり。そういう動画を平気で発信しているし、それがまかり通ってしまっている。
僕からすれば、「きついトレーニングをして努力した意味って何?」と思っちゃいます。難しい大食いチャレンジに成功しても、真っ当に評価されなくなるかもしれない。このままだと日本の大食いはエンタメのままで終わってしまいます。
◆お茶の間に“本物の熱狂”を取り戻す覚悟
――エンタメに寄った大食いには抗いたいですか?Ryu:僕はどっちもアリだし、おいしく味わいながら食べるのも好きです。ただ、真剣勝負で「負けたくない」という気持ちが出たときは、フェアに競い合いをして勝ちたい。
昔、日本にも本気の大食いが流行っていた時期がありました。ジャイアント白田さんと小林尊さんが活躍していた時代です。でも、僕が入ってきた頃の大食い界は「おいしく楽しくきれいに食べてください」という風潮でエンタメ寄りだった。僕が見ておもしろいと思うもの、子ども時代にお茶の間で触れていた大食いはそんな感じではなかったんです。
体力を使う競技なので、年齢的にも時間がないという焦りが自分にはあった。だから、『大食い王』の開催がずっと待てませんでした。この大会はできるだけ早めに優勝しておいたほうがいい。国内で“ガチの大食い”を流行らせるために必要な最後の実績が、『大食い王』優勝だったんです。
いくら偉そうなことを口にしても「いや、『大食い王』で優勝してないじゃん」と思われかねない。だから、有無を言わさない実績が必要でした。

