子どもと若者が育てた、小さな緑のじゅうたん 公園はどう変わり始めたのか

子どもと若者が育てた、小さな緑のじゅうたん 公園はどう変わり始めたのか

「ゴミを捨てないで」。子どもの言葉が大人に届いた

また、まちびらき隊はポスターをつくるイベントを開催し、たくさんの子どもたちが描いた絵とメッセージを公園中に掲げた。書かれているのは、どれもシンプルな言葉ばかりだ。

「ゴミをすてないで」「お花を大切に」「みどりだいすき!」「公園を大切に」「ちきゅうをきれいに」「まちをきれいに」

すると活動を続けるうちに、不法投棄は見られなくなり、少しずつゴミも減ってきたという。

「僕たちがゴミを拾うからだけではなく、ポスターでメッセージすることによって、ゴミを捨てる人自体も減ったのだと思います」と、初期から活動するメンバーが話してくれた。

誰かがこの公園を大切にしているというメッセージ。それがゴミを捨てようとする人の手を、とどまらせている。

次に挑戦したのは「緑」だった

「まちびらき隊」が現在ゴミ拾いと並行して取り組んでいるのが、東田公園を緑化するプロジェクトだ。まず挑戦したのはクローバーだった。土を耕してタネをまき、緑のじゅうたんをつくった。一度は茂った。しかし、夏の暑さで枯れてしまった。もう一度挑戦しても、夏を越せない。試行錯誤は4年間続いた。

そこで彼らは、自分たちで植物を調べ始めた。

「川崎市は工業地帯で、二酸化炭素を多く排出しているんです。それを吸収して温暖化を防ぐことにもつながればいいなと思って、暑さに強いという条件とともに、CO2吸収という検索ワードも入れて調べたら、出てきたのがクラピアだったんです」。

クラピアは、沖縄などに自生する在来種イワダレソウを原種として品種改良された、地面を這うように広がるグラウンドカバープランツだ。暑さに強く、小さな丸い葉が密に広がることで、雑草の発生を抑えやすく、雑草対策などにも利用されている。また、根が地中深く1m近くまで伸びるため、豪雨による土壌の流出防止や雨水の浸透効果などの環境機能が注目されている。

つるはしとシャベルだけで砂利の地面を耕すまちびらき隊メンバー。写真/まちびらき隊

ただし、その植栽は簡単ではなかった。クラピアは地中深く根を伸ばすという資料を読んだ彼らは、予定地43平米を50cmの深さで掘り進めた。掘ると、中から石が次々と出てきた。それを一つずつ取り除きながら、半年ほど地道な土づくりを続けた。その後、専門家の植栽指導を受けてクラピアを175株植栽。土づくりから約1年をかけ、公園の一画に緑のじゅうたんを育て上げた。心配していた8月の猛暑も枯れることなく、瑞々しい緑が広がり、愛らしい花も咲く。

2025年秋、資材の購入など、まちびらき隊の活動を支援する川崎中央ロータリークラブと一緒にクラピアを植栽した。

こうした彼らの活動は行政からも評価され、2025年には、「かわさきSDGs大賞2025」の地域・社会部門で最優秀賞を受賞。川崎市は、中高・大学生が主体となり、幼児や小学生の意見を取り入れながら、行政、企業、商店街、地域団体と連携して実現している点などを高く評価した。

活動を通して、子ども達自身にも変化が生まれたという。大学生の一人は、「植物にこれまで興味がなかったけれど、この活動を始めてから、どうしてここに生えているのかなとか、植物の働きについて興味を持って調べるようになりました」と話す。また、横浜から電車とバスを使いこの活動に参加している高校生は「学校だけではないコミュニティを持って、仲間と一緒になんでもチャレンジできることがとても楽しい」と教えてくれた。

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