相続時精算課税制度のデメリット
相続時精算課税は節税効果も高くメリットが大きいように感じますが、ケースによっては事前には考えもしなかったデメリットも発生します。
相続時精算課税を選択する前には考えられるデメリットもよく考慮する必要があります。選択してからデメリットに気付いても元に戻すことはできないので後悔しないように注意しましょう。
毎年110万円の非課税枠が使えなくなる
相続時精算課税と暦年課税は選択制となっています。相続時精算課税を選択する場合は最初に贈与税を申告するときに選択しますが、その後は暦年課税はできなくなる点に注意しましょう。
金額に関係なく申告が必要
暦年課税は年間110万円までの贈与は申告の必要はありませんが、相続時精算課税では金額に関係なく毎年申告する必要があります。これは贈与額の累計金額を証明するために必要だからです。
小規模宅地等の特例を適用できなくなる
小規模宅地等の特例は相続した土地が条件を満たした場合に、相続税が50〜80%減額される特例です。しかし、これはあくまで相続した土地に限られるので、相続時精算課税方式で生前に贈与した土地は対象にならず、相続税の減額は受けられません。
不動産の贈与は諸費用が増える
不動産の所有権移転には登録免許税や不動産取得税がかかります。相続により不動産を移転する場合はこれらの税金が優遇されていますが、生前贈与による移転の場合は優遇されないので注意しましょう。
贈与と比較して登録免許税と不動産取得税の合計で、固定資産税評価額に対して4.6%の違いがあります。
●登録免許税……贈与 2.0%、相続 0.4%(-1.6%)
●不動産取得税……贈与 3.0%、相続 0.0%(-3.0%)
相続時精算課税制度はケースによってデメリットが大きいので注意が必要
相続時精算課税には節税のメリットがありますが、不動産を相続する場合には各種の優遇税制も存在します。相続時精算課税を選択してしまうと、これらの優遇税制を受けられなくなるので注意しましょう。
また、一度選択すると後戻りできません。十分に検討したうえで相続時精算課税を選択しましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4429 贈与税の申告と納税
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.7191 登録免許税の税額表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
配信: ファイナンシャルフィールド
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