【親の介護】遠距離介護を始める前に知っておきたいこと

3. 親の「お金」について知っておく

お金の話はなかなか切り出しにくいものですが、「心配だから、もしもの時のために教えて」と帰省した時に聞いてみてはいかがでしょうか。

 

介護が必要になったとき、在宅介護と施設介護のどちらを選ぶにせよ、親の貯蓄と年金で賄える範囲が基本と考えておきましょう。親のためにできるだけ良い介護環境を整えてあげたい、と思って自己負担のサービスを増やしても、介護期間が長くなったときに資金が乏しくなってしまっては元も子もありません。年金が少ない場合も金額が分かっていれば、スタート時点から対応策を考えることができます。

 

貯蓄の金額も聞きにくいのですが、倒れたときの入院費用を払うために必要なので、預金通帳やキャッシュカードなどの保管場所を確認し、できれば金額もチェックしておきます。

 

キャッシュカードの暗証番号を聞いておけば、いざというときにお金を引き出せますが、親子であれば「代理人カード」を作っておくことも可能です。倒れてからではそれも難しいので、元気なうちに一緒に銀行に行って、代理人カードを作ってもらい預かっておくと安心です。

 

4. 介護休業・介護休暇について知っておく

遠距離で暮らしながら、できるだけ介護サービスを利用して仕事と介護を両立させると決めても、環境を整えるためには時間も手間もかかるでしょう。また、病院で説明を受ける際に付き添ったり、様子を見に行ったり帰省の回数も増えたりすることが予想されます。

 

そのようなときに使える制度として、「介護休暇」と「介護休業」があります。どちらも、正社員だけでなく、パートや契約社員でも利用が可能です。

 

介護休暇は、介護のために短期的な休暇を取得できる制度で、年間5日まで、半日単位や1時間単位でも取得できます。一方、介護休業は、介護のために長期の休みを取得できる制度で、通算93日まで、最大3回まで分割して取得できます。どちらも賃金は支払われないことが多いのですが、介護休業は要件を満たせば介護休業給付金の受給が可能です。

 

仕事を続けながら遠距離介護をするのは、体力的にも精神的にも大変なことでしょう。親の希望も聞きながら、介護を続けられる環境を作れるよう、早めに情報を集めておきましょう。

 

執筆者:蟹山淳子

CFP(R)認定者

 

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