2023年8月8日

傷病手当金と傷病手当の違い、わかりますか？

傷病手当金と傷病手当は名称が似ていて紛らわしいですが、傷病手当金は健康保険からの給付、傷病手当は雇用保険からの給付です。

似ている2つの制度ですが、利用できる場面や給付内容はまったく異なります。違いをしっかり理解しましょう。

傷病手当金とは

傷病手当金は、健康保険に加入している本人（被保険者）が「業務外」の病気やけがのために仕事を休み、給料を受けられない場合の所得補償です。

ちなみに、自営業者などが加入する国民健康保険では任意給付であり、市町村の国民健康保険では通常、傷病手当金は給付されません。ただし、市町村によっては、条例により、新型コロナウイルス感染症に感染するなどした被用者に傷病手当金を支給する場合があります。

なお、業務災害・通勤災害による病気やケガのために仕事を休み給料を受けられない場合は、労災から休業（補償）給付が支給されます。

傷病手当金は、次の条件をいずれも満たしたときに支給されます。

(1) 業務災害以外の病気やケガの療養のために働くことができないこと

医師が仕事に就けない状態であると認めていることが必要です。また、労務不能と認められる期間であれば、入院中のみでなく通院を含む自宅療養でも構いません。

(2) 4日以上仕事を休んでいること

療養のために連続して3日間仕事を休んだ後（待期期間）、4日目以降の仕事を休んだ日について支給されます。待期期間には有給休暇、土日祝等の公休日を含みます。

(3) 給与の一部または全部が支払われないこと

傷病手当金は通算1年6ヶ月分もらえます。つまり、途中で復帰して、手当をもらっていない期間はこの1年6ヶ月にカウントされません。

1日あたりの支給額は、傷病手当金の支給開始日の属する月以前の、直近12月間の標準報酬月額を平均した額を30分の1相当にし、さらにそれを3分の2相当にした額となります。

支給開始日以前の加入期間が12ヶ月に満たない方の支給額は、下記のいずれか低い額を使って計算します。

(1) 支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均額

(2) 標準報酬月額の平均値30万円

4日以降有給休暇などで給料を全額もらっていれば、傷病手当金は支給されません。給与が一部（給与＜傷病手当金）支給されれば、傷病手当金との差額が支給されます。なお、年3回以下の賞与は傷病手当金の減額の対象にはなりません。

退職後の傷病手当金は、資格喪失の日の前日（退職日等）まで、被保険者としての期間が続いて、それが1年以上あり、被保険者資格喪失日の前日において、現に傷病手当金を受給しているか、受けられる状態であれば、退職後も引き続き支給を受けることができます。

ただし、いったん仕事に就くことができる状態になった場合、その後さらに仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されませんので留意しましょう。

傷病手当金と失業保険（基本手当）を同時に受け取ることはできません。働ける状態になったら失業保険（基本手当）の受給が可能ですので、受給の延長手続きをするとよいでしょう。受給期間1年プラス3年の計4年まで延長できます。

傷病手当とは

傷病手当は雇用保険からの給付です。失業保険（基本手当）を受給するには、積極的に職に就こうとする意思がある、健康状態や環境などにおいて就職が可能な能力がある、積極的に就職活動を行っているが現在職に就いていない、ということが必要です。

会社を退職して求職の申し込みをした後に、病気やけがによって15日間以上引き続いて求職活動を続けることや就職することができなくなった場合は、失業保険（基本手当）を受給できません。この代わりに雇用保険から傷病手当が支給されます。14日以内の病気やケガの場合については、失業手当（基本手当）の対象となります。

なお、健康保険の傷病手当金、労働基準法の休業補償、労災保険の休業補償給付を受給している期間は、雇用保険の傷病手当は受給できません。

傷病手当の支給額は、基本手当と同額です。つまり、賃金日額（離職前6ヶ月の給与の総支給額の合計÷180）×　給付率（45％～80％）で計算した額になります。傷病手当の支給を受けるには、病気やけがが治った後の最初の認定日までに、傷病手当支給申請書に受給資格者証を添えてハローワークに提出します。

病気やケガで働けなくなった際、この2つの支援は大変助かるものとなるでしょう。不明点はそのままにせず内容をしっかり確認し、正しく受給するようにしましょう。