地方の友人が家も車も買っていました。年収は同じですが、生活費がそんなに安いのでしょうか?

地方よりも高い収入を得るために、地方から都会に出て働く人もいます。しかし、地元の友人が同じ収入にも関わらず家や自動車を購入した話を聞くことも珍しくありません。
 
本記事では都市部と地方での生活費を消費者物価指数から比較し、さらに地方で家や車が購入しやすい理由も解説します。都市部と地方での暮らしやすさの違いに興味のある人は参考にしてください。

都市部と地方の暮らしやすさは消費者物価指数で比較できる

同じ日本国内に居住していても、地域によって物価に違いがあります。そのため、同じ年収でも住んでいる場所によって暮らしやすさに違いが生じるのです。この暮らしやすさの違いは、消費者物価指数を比較することで分かります。

 

指数は基準となるものを設定してそれを100とします。これに対して100を超えれば基準以上で100未満は基準以下と判断します。

 

それでは、消費者物価指数と最も高い地域と低い地域の差がどれくらいか解説しましょう。

 

消費者物価指数とは

消費者物価指数は、総務省統計局が家計調査の結果から毎月公表しているデータのひとつです。全国の世帯が購入する家計に関係する物やサービスの価格などを総合して、物価の変動を時系列的に測定する目的があります。

 

基準値は特定の年度の数値や全体の平均値を100としているので、基準の年度・平均と比べて物価がどれくらい上昇(下降)しているかが判断できます。

 

消費者物価指数の最も高い地域と最も低い地域の比較

2022年の総務省統計局 消費者物価地域差指数のデータでは、10大費目別消費者物価地域差指数(総合)で最も指数が高かったのは東京都で反対に最も低かったのは宮崎県です。

 

東京都と宮崎県の指数を図表1で比較しているので参考にしてください。

 

【図表1】

 

費目 東京都 宮崎県
総合 104.7(1) 96.1(47)
総合(家賃を除く) 102.8(1) 97.0(46)
食料 103.0(3) 96.0(46)
住居 130.7(1) 90.5(26)
光熱・水道 96.4(42) 98.0(35)
家具・家事用品 103.1(3) 100.1(20)
被服・履物 101.6(14) 95.9(40)
保健・医療 101.5(2) 96.1(47)
交通・通信 102.9(1) 99.3(28)
教育 109.5(5) 93.8(23)
教養・娯楽 105.4(1) 92.1(47)
諸雑費 100.7(11) 95.7(43)

 

総務省統計局 10大費目別消費者物価地域差指数をもとに筆者作成

※ カッコ内は全国都道府県別の順位(全国平均=100)

 

総合で最も消費者物価指数が高い東京都ですが、100を大きく超えている費目はほとんどなく、住居だけが130.7と突出していることが分かります。

      

収入が同じであれば、都市部より地方のほうが家と車が買いやすい理由

地域別に消費者物価指数を比べてみると、トータルで最高104.7、最低96.1、差は8.6でした。これは10万円当たりで8600円の違いしかないことになります。

 

同じ収入なのに地方に住んでいるだけで家も自動車も買う余裕があるとすれば、トータルでは分からない差があると考えられます。

 

家と車のそれぞれについて都市部と地方で買いやすさの違いを検証してみましょう。

 

家が購入しやすい理由

都市部で家が買いにくい、地方では買いやすいと考えたときに最も影響が大きいのは土地の価格と推測できます。令和5年の坪単価を比較すると下記のとおりです。

 

東京都……383万3616円

宮崎県……13万2268円

 

また、住居費目の指数の差は40.2と大きいことから、土地代の差がそのまま反映していると考えられます。

 

家を建てる場合やマンションを購入する場合も地価の影響が大きいので、地方では都心部に比べて購入しやすいと推測できます。

 

車が購入しやすい理由

車の場合は購入しやすいかどうかという点以外に、購入する必要性の問題もあると考えられます。車両価格は地域差による差額はそれほど大きくないと推測できるからです。

 

そのため、地方に居住している人が都市部の居住者よりも車を購入する比率が高いとすれば以下の理由が考えられます。

 

●実家に住んでいることが多いので、最もお金がかかる住居費が不要で車を購入する余裕がある(賃貸住まいでも家賃が安い)

 

●都心部は公共交通網が発達しているため、車での通勤が不要だが、地方によっては交通機関が不便などの理由で車が不可欠な場合がある

   

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