老夫婦の公的老齢年金額の上限額
夫婦2人がいずれも65歳以上で、65歳から公的老齢年金を受給したとすると、夫婦で受給する老齢年金の額は、2人の現役時代の働き方の違いによって、以下の値が上限値となります。なお、夫婦には加給年金の対象となる子どもはいないものとします。
1.夫婦ともに第1号被保険者であった場合
夫婦がいずれも第1号被保険者として40年間保険料を支払ったとすると、それぞれ満額の老齢基礎年金を受給します。従って、夫婦で受給する老齢年金額は159万円になります。
夫の老齢基礎年金: 79万5000円
妻の老齢基礎年金: 79万5000円
夫婦の老齢年金額:159万0000円
2.夫が第2号被保険者、妻が第1号および第3号被保険者であった場合
夫が20歳から60歳まで厚生年金の被保険者として、月額63万5000円以上の報酬と、年3回150万円以上の賞与を支給された場合、夫はそれぞれ満額の老齢基礎年金と老齢厚生年金の上限額を受給します(老齢厚生年金に満額という考え方はなく、あくまで計算上の上限額となります)。従って、老齢年金額は349万1652円になります。加えて、妻が20歳から60歳まで、第1号および第3号被保険者(専業主婦)であったとすると、その場合の年金額と合わせて、夫婦で受給する老齢年金額は428万6652円になります。
夫の老齢基礎年金: 79万5000円
夫の老齢厚生年金:269万6652円
妻の老齢基礎年金: 79万5000円
夫婦の老齢年金額:428万6652円
3.夫婦ともに第2号被保険者であった場合
夫婦そろって20歳から60歳まで、厚生年金の被保険者として、月額63万5000円以上の報酬と、年3回150万円以上の賞与を支給された場合、それぞれが満額の老齢基礎年金と老齢厚生年金の上限額を受給します。老齢年金額は1人当たり349万1652円、夫婦で受給する老齢年金額は698万3304円になります。
夫の老齢基礎年金: 79万5000円
夫の老齢厚生年金:269万6652円
妻の老齢基礎年金: 79万5000円
妻の老齢厚生年金:269万6652円
夫婦の老齢年金額:698万3304円
まとめ
わが国の公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建て構造になっています。
全国民が共通して受給することができる老齢基礎年金は、20歳から60歳まで第1号被保険者として国民年金保険料を全額支払うか、第2号被保険者または第3号被保険者であった場合に、満額を受け取ることができます。老齢厚生年金は、厚生年金に加入していたときの報酬額と加入期間などをもとに算出されます。しかし、一定額以上の報酬や賞与をもらっていても、上限額以上の老齢厚生年金を受給することはできません。
老夫婦が受給する老齢厚生年金の受給額は、老齢厚生年金を受給できるか否かによって大きく変わります。現役時代の働き方による年金額の違いを、再認識する必要があるようです。
出典
(※2)日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※3)日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※6)日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
配信: ファイナンシャルフィールド
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