「盲腸癌の予後」はご存知ですか?症状や虫垂炎との見分け方も解説!【医師監修】

「盲腸癌の予後」はご存知ですか?症状や虫垂炎との見分け方も解説!【医師監修】

大腸がんの種類ごとの症状

大腸がんの代表的な症状としては腹痛・便通異常・腸閉塞・貧血などがあります。
では、部位ごとに特徴的な症状はあるのでしょうか。盲腸癌のほか、上行結腸がん・下行結腸がん・直腸がん・肛門がんについて症状をまとめました。

盲腸癌

盲腸は、大腸の中で最初に便が通る部位です。小腸から大腸へ送られた便は、大腸を通過するうちに段々と水分を吸収され、泥状から固形になっていきます。
盲腸を通過している便はまだ水分が多く、盲腸が腫瘍で狭くなっていても閉塞が現れにくいとされています。また、盲腸癌から出血があっても排便時には血液が確認しづらく、大腸がんの中では自覚症状が現れにくい部位です。
そのため、腫瘍が大きくなってから腹部のしこりとして自覚したり、気付かないうちに出血が続いて貧血が現れたりすることもあります。

上行結腸がん

大腸がんの部位ごとに現れやすい症状は、腹部の右側にある盲腸・上行結腸と腹部の左側にある下行結腸・S状結腸・直腸で異なります。
盲腸と同じく大腸の前半にあたる上行結腸では、盲腸癌と同じく通過障害は起こりにくく、腹部のしこり・貧血をきっかけにがんが見つかることが多いでしょう。

下行結腸がん

下行結腸と、その先にあるS状結腸・直腸は腹部の左側に位置する腸管です。下行結腸を通る頃には便が固形になっているため、腸管に腫瘍があると通過障害が起こりやすくなります。
その結果、下行結腸がんでは通過障害による腹痛・吐き気・嘔吐といった症状がみられる場合があります。また、便秘・下痢を交互に繰り返すのも左側大腸がんの特徴です。さらに、腫瘍から出血すると便の表面に血液が付いた状態で排便されるため血便が目立つようになります。

直腸がん

直腸は肛門に近いため、下行結腸がんよりもさらに下血・血便が目立ちやすいでしょう。また、頻回な便意・肛門痛など感覚的な症状を自覚する患者さんもいます。
さらに、便が細くなったり、通過障害により腹痛・吐き気・嘔吐などの閉塞症状が現れたりすることもあります。

肛門がん

肛門がんは、直腸から肛門までをつなぐ3~4cmほどの「肛門管」もしくは肛門周囲の皮膚に発生するがんです。肛門がんになると、腹部の症状よりも肛門痛・肛門周囲の違和感・腫れ・しこりといった「おしりの症状」として感じる患者さんが多いでしょう。
また、直腸がんと同様に排便時の出血が目立ちやすいので「痔ではないか」と自己判断し受診に至らない方もいます。

盲腸癌と虫垂癌の見分け方のポイントとは?

前述のとおり盲腸癌は自覚症状が出にくく、大腸がんの中では発見が遅れやすい病気です。一方「虫垂癌」では、腫瘍による内腔の閉塞・血流障害から虫垂炎に似た強い痛みが現れることも多いでしょう。
手術についての解説でも触れたとおり、盲腸と虫垂は別の部位になります。混同されることが多い理由としては、虫垂炎を「盲腸」と呼ぶことが挙げられるでしょう。これは、虫垂炎の原因が虫垂だと知られていなかった時代に「盲腸周囲炎」と呼ばれたなごりだといわれています。
虫垂癌は盲腸癌よりも自覚症状が出やすい病気ですが、画像検査では特徴的な所見に乏しく、虫垂炎だと思い手術をした後に組織生検で初めて「がんだった」とわかるケースもあります。

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