「コレステロールが高い人の特徴」はご存知ですか?下げる食べ物も医師が解説!

「コレステロールが高い人の特徴」はご存知ですか?下げる食べ物も医師が解説!

コレステロール値が高い人の特徴

コレステロール値が高い人は「肥満体形」「脂っこいものが好きでよく食べる」「運動不足」「ストレスが多い」「喫煙の習慣がある」傾向があります。
しかし、痩せている方や、運動習慣があり健康に気遣う方の中にもコレステロール値が高いケースもあります。どのような人にリスクがあるのでしょうか。

ストレスが多くてコレステロール値が高い人

過剰なストレスは悪玉コレステロール値を上げ、善玉コレステロールを下げる作用があります。
人体には戦闘モードの際に優位になる「交感神経」と、リラックス時に優位になる「副交感神経」があります。どちらかが優位になれば、どちらかが下がっていくという仕組みになっています。ストレスが高まると心身は戦闘モードになり、交感神経が優位になります。
交感神経が働くと血管が収縮します。
この「血管の収縮」が血圧を上げ、プラークの溜まった血管に致命的な負荷を与えることがあります。

喫煙習慣があり血液中のコレステロール値が高い人

喫煙は、善玉コレステロールを減らす最大の要因です。
たとえ悪玉コレステロール値が基準値内でも、善玉コレステロールが低すぎると血管の掃除ができず、動脈にプラークが溜まります。
原因は、タバコに含まれるニコチンです。ニコチンには善玉コレステロールを減らし、中性脂肪を上げる作用があります。できるだけ早く禁煙することが最善の解決策です。ニコチン中毒を自分で解決するのは非常に難しいので、禁煙外来を受診することをおすすめします。

痩せているのに血液中のコレステロール値が高い人

脂質異常症は肥満の方に多い症状ですが、「痩せているのにコレステロール値が高い」方も珍しくありません。
その原因は主に3つあります。

・内臓脂肪が多い
人間の脂肪には、皮下脂肪と内臓脂肪があります。
皮下脂肪は見た目にも分かりやすく脂肪が付きますが、内臓脂肪は一見すると痩せている方でもたっぷり付いていることがあります。
内臓脂肪は間接的に、悪玉コレステロール値の上昇と、善玉コレステロールの低下を引き起こします。

・飽和脂肪酸の過剰摂取
バターや乳製品、肉の脂身など動物性食品に含まれる飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを上げます。たとえ痩せていても、これらを多く摂取するのは控えましょう。
糖質制限ダイエットなどで肉の過剰摂取をしている方に多い症状です。

・遺伝性
遺伝が原因で、重度の脂質異常症になることがあります。
「家族性高コレステロール血症」という病気で、20代~30代のうちに心筋梗塞などを引き起こすことがあります。
令和4年より遺伝子検査も保険適用内になりました。男性は55歳以下、女性は65歳以下で狭心症、心筋梗塞など冠動脈疾患と診断された、近縁の方で同様の病気と診断された方がいるという場合には、一度遺伝子検査を受けられる医療機関を探してみると良いでしょう。治療は早ければ早いほど健康寿命を伸ばすことができるでしょう。

運動不足で血液中のコレステロール値が高い人

運動不足は善玉コレステロール値を下げる要因の一つです。悪玉コレステロール値は正常値なのに善玉コレステロール値が低い方は、生活習慣を見直してみましょう。
1日30分ほどの有酸素運動を行うと善玉コレステロール値を上げ、中性脂肪を減らす効果があります。室内運動で良いので、最低でも週に3回は有酸素運動を行いましょう。
スクワット、ヨガ、踏み台昇降など、室内で器具がなくても簡単に行える運動はたくさんあります。自分に合うスタイルで、無理のない範囲で身体を動かしましょう。

女性で血液中のコレステロール値が高い人

女性は女性ホルモン(エストロゲン)の作用で脂質異常症になりにくい傾向があります。
エストロゲンは悪玉コレステロールや中性脂肪を減らすはたらきがあり、女性の身体を守ります。
しかし更年期になると、卵巣の機能が低下し、エストロゲンの生成が大幅に減ります。更年期以降は女性も悪玉コレステロールや中性脂肪が増えやすくなり、コレステロール値が急激に上がることがあります。
更年期以降はぜひ、日本食を中心にした食生活と、適切な運動習慣を心がけましょう。

男性で血液中のコレステロール値が高い人

男性は女性に比べてコレステロール値が高くなりがちです。
喫煙、暴飲暴食、脂っこいものが多い食事、運動不足などを続けると、悪玉コレステロール値は増える一方です。コロナ禍が明けて会食の機会が増えましたが、動物性脂肪が多い食事はなるべく少量に留めましょう。
焼肉であれば肉だけでなく野菜や魚介類をメインに焼くなど、工夫ひとつで十分に会食が楽しめます。肉やご飯を食べる前に食物繊維が豊富な野菜サラダを食べる、を心がけるだけでも悪玉コレステロール値を抑え、血糖値の急上昇を防げます。

喫煙者も男性のほうが女性より多く、男性27.1%に対し、女性はわずか7.6%しかありません。(2019年統計)これも大きなリスクです。

コレステロール値が高い人がなりやすい病気・疾患は?

悪玉コレステロール値が高いまま放置すると、やがて動脈にコレステロールが溜まり、動脈硬化が悪化します。これから解説する病気はすべて、動脈硬化が原因で引き起こされます。
ここではMedical DOC監修医がコレストロール値が高いことでなりやすい病気・疾患について解説します。

心筋梗塞

心筋梗塞は、冠動脈という動脈が詰まってしまい、心臓の筋肉に酸素や栄養が届かなくなり、心臓の筋肉が壊死(えし)、つまり死んでしまう病気のことです。
日本の死亡原因では、がんに次いで第2位を占め、2019年には20万人以上の方が亡くなっています。心筋梗塞は高齢者に多いですが、若い方でも発症します。
冠動脈は、心臓に酸素と栄養を運ぶ動脈です。この冠動脈が動脈硬化を起こし、詰まると血流が途中で止まってしまいます。酸素と栄養がないと心臓は動くことができず、最悪の場合は心停止します。
突然、胸に激しい痛みが走る、ギューっと締め付けられるように痛いときは心筋梗塞の可能性があります。一刻も早く処置しなければ命にかかわるため、ただちに救急車を呼びましょう。

脳梗塞

脳にはおびただしい数の血管があり、多くの血液が流れています。血液の20%以上が脳に流れ、多くの酸素とエネルギーを運び入れます。
脳の血管が何らかの理由で詰まる症状が脳梗塞です。脳のどの血管が詰まるかで症状に差はありますが、脳幹という生命維持を司る領域に起きると即死のリスクがあります。
たとえ命が助かっても、血管が詰まった先の脳は死滅するため、深刻な後遺症が残ることもあります。
脳梗塞の原因はさまざまですが、悪玉コレステロールが溜まった動脈のプラークが剥がれ落ちて、そのまま脳の血管まで流れつき塞ぐことがあります。
脳の大きな血管を塞ぐことがあり、致命傷や重度の後遺症を背負うリスクが高い疾患です。
突然、激しい頭痛がする、顔の半分がだらりと下がる、ろれつが回らない、両手を前に出すと片側だけ下がってしまうなどの症状があれば、脳梗塞も疑われます。ただちに救急車を呼びましょう。

大動脈瘤

大動脈は、心臓から押し出された血液を送る動脈のうち、枝分かれする前の太い動脈を差します。
心臓から胴の上部~下腹部まで伸びたステッキのような形の太い動脈で、この動脈が枝分かれして全身に血液を運びます。
この大動脈が本来の血管の太さの2倍以上にコブのように膨れてしまう病気が大動脈瘤です。一度出来ると、どれだけコレステロール値を下げても治ることはありません。
放置すればやがてコブが破裂し、大動脈から大量の血があふれ出し、即死することもあります。
コブが大きくなり周囲の器官を圧迫するまでは、自覚症状がほぼありません。定期健診の胸部X線検査や心エコー検査などで見つかることがあります。
定期健診は必ず毎年受け、心エコー検査か、胸部X線検査を行いましょう。もし異常が見つかれば、早急に心臓外科を受診しましょう。コブが破裂しないように、あらかじめステントグラフトという網状のパイプを大動脈の内部に敷き、破裂を防ぐ処置を行うことがあります。
大動脈瘤は60歳以上の男性に多く、女性の5倍もリスクがあります。
コレステロール値の管理に加え、定期健診を必ず受けましょう。

腎臓障害

腎臓は細い血管が通る繊細な器官で、血液の老廃物などを漉し取り、尿にします。そのため動脈硬化に弱い臓器のひとつです。
動脈硬化などが原因で起こる腎臓病を慢性腎臓病(CKD)と呼びます。
高血圧、糖尿病などが原因で起こりますが、悪玉コレステロールが高い人にもリスクがあります。放置するとやがて腎不全を起こし、人工透析を続けなければなりません。
CKDはまず、尿たんぱくが出ることで判明します。定期健診で尿たんぱくが出たと診断されたら、できるだけ早めに内科を受診し、精密検査を受けましょう。
腎臓は一度悪化すると、治ることはありません。これ以上悪化させないためにコレステロール値を管理し、腎臓をいたわりましょう。

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