突然届いた母からの生活保護の「扶養照会」…私は専業主婦ですが夫の年収は「400万円」です。援助すべきでしょうか?

行政から突然届いた「扶養照会」に、驚いた経験がある方もいるかもしれません。扶養照会は、身内が生活保護の申請をした際に、親族に扶養できる人がいないかを確認するための通知です。
 
そこで今回は「扶養照会」について解説します。扶養照会が届いたときに、どのように対処すればよいかが分からない方は、ぜひ参考にしてください。

生活保護における扶養照会とは?

親族が生活保護を申請した際に、身内に金銭的に援助できる人がいないかを確認する「扶養義務調査」が行われるケースがあります。生活保護制度は、生活保護法に基づいて運営されています。

 

生活保護法第4条第2項では「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」としており、民法第877条では「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」としています。

 

この法律に基づき、ケースワーカーは必要に応じて「生活状況などを把握するための実地調査(家庭訪問など)」や「扶養義務者による扶養が可能かどうか」などを確認することがあるようです。

 

扶養照会の内容は自治体によって異なりますので、不明点があれば、住んでいる自治体の福祉事務所(生活保護担当)に相談してみましょう。

 

扶養照会が届いても必ず応じなければならない訳ではない

親族が生活保護の申請をした際に実施されることがある扶養照会ですが、必ずしも扶養しなければならないという決まりはないようです。実際に親族における扶養の可否が、直接的に生活保護の判定に影響を及ぼすことはないとされています。

 

厚生労働省の「社会・援護局関係主管課長会議資料」における「平成28年7月に保護を開始した世帯に係る、扶養能力調査の状況」によると、扶養義務者数約3万8000人に対し、扶養照会に応じた件数は約1万件とのことです。さらに、金銭的な援助ができると回答しているのは、600件ほどのようです。

 

収入や資産に余裕がなくて援助できない場合はもちろん、申請者との関係性が思わしくなくて絶縁状態であるなど、断る理由は家庭によってもさまざまでしょう。あらかじめ扶養の履行が期待できない場合や、家庭内でのトラブルが見られていた場合には、扶養照会を実施しないケースもあるとのことです。

 

なお、「扶養照会が届く側の年収によって援助の可否が決まる」という基準は設けていないようです。扶養義務者の年収が400万円であっても、自身の生活や貯蓄などで手一杯で、援助まで手が回らないなどの事情があるかもしれません。

 

母親が生活保護を申請したとなると心配になるかもしれませんが、まずは自分たちの家庭でのやりくりを優先して、余裕があれば経済的援助を検討してみましょう。

 

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