「メラノーマの進行速度」はご存知ですか?検査方法についても解説!医師が監修!

「メラノーマの進行速度」はご存知ですか?検査方法についても解説!医師が監修!

メラノーマのタイプは?

メラノーマは、形状や発生しやすい部位で4つのタイプに分類されます。
また、粘膜型メラノーマは皮膚以外に発生するメラノーマですが、皮膚に発生するメラノーマより治療が困難で悪性度が高いメラノーマのため、ここに加えて解説します。

悪性黒子型

日焼けなどの紫外線の照射が慢性的(10〜40年間)になりやすい顔面に発生し、不規則な形のシミが徐々に拡大して、時間がたつと中央部に結節が生じます。
なお、高齢者の顔面に発生することが多く、紫外線以外にBRAF遺伝子やNRAS遺伝子が必要のない細胞の増殖命令を出すことも関連していると考えられます。

表在拡大型

発生部位は体幹(胸・腹・背中など)や下腿など、日焼けをしにくい部位に多くみられます。バカンスやレジャーなどでの強烈な紫外線照射が関連するともいわれています。
なお、20歳代から高齢者など幅広い年齢層に発生がみられますが、白色人種に多いタイプのメラノーマです。また、日本人のなかでも肌の色が白い人は発生するリスクが高いと考えられます。
通常は黒色のボタンを置いたような見た目ですが、赤色が混在するものや腫瘤全体が赤色の場合もあります。

結節型

発生部位は特に限定されていません。短期間に結節状のがん細胞の塊が大きくなっていきます。また、色素斑がみられないのが特徴です。
なお結節型は腫瘤の厚みが予後に大きく関わるため、予後は良くない傾向にあるといわれています。

末端黒子型

40~50歳以降の方に多く、足の裏や手のひら・手足の爪に発生します。日本人のメラノーマの約40%を占めています。
なお、初期の段階では不整形の黒色斑ですが、数ヵ月~数年で典型的な色素斑に結節・腫瘤・潰瘍が発生するでしょう。また、末端黒子型の発生は機械的な刺激や外傷が誘因として挙げられます。

粘膜型

粘膜型は、皮膚以外に発生するメラノーマです。中高年に多く、数ヵ月から数年で増殖します。
発生する部位は以下になります。

口唇

口腔内

鼻腔

外陰部粘膜

眼瞼

眼球内(脈略膜メラノーマ)

粘膜型メラノーマは、反復する機械的刺激や外傷が誘因するといわれています。
なお、皮膚に発生するメラノーマと比較して拡大切除が困難で、リンパ流が豊富な部位のため予後不良になる確率が高いメラノーマです。

メラノーマの検査方法

メラノーマと診断するにあたって、さまざまな検査方法を用いることがあります。また、医師による肉眼での視診は画像だけの診断よりも、患者さんを対面で診察する診断精度は高いと評価されています。

医師による肉眼の視診

メラノーマが良性か悪性かの鑑別では最初に医師による肉眼での診断を行います。この診断基準にはABCDルールがあります。

Asymmetry:形状が左右非対称

Border irregularity:縁が不規則・周りがギザギザ

Color Variegation:色むら・多彩

Diameter:大きさが6ミリメートル以上

なお、皮膚科医はメラノーマ全体の印象やそのほかのほくろとも比較して診断を行います。

ダーモスコピーによる観察

ダーモスコピーとは診療器具の1つで、ライトが付いた拡大鏡で皮膚の表面を拡大して詳しい観察が可能です。そのため、色素の状態をより鮮明に確認でき、メラノーマと良性疾患を判別できます。
なお、ダーモスコピーによる検査は広く普及しており、メラノーマの早期発見には欠かせません。

生検

生検は、確定診断を行うために病変の一部や全部を切り取り顕微鏡で調べる検査です。ダーモスコピーのみで判断が難しい場合などに生検を行います。
なお、生検においては病変の周りより1~3ミリ外側から深部に取り残しがない程度の深さまで切除する全切除生検が理想とされています。しかし、それが不可能な大きさの病変や顔面・手のひら・足の裏などは全切除生検が難しいため、部分切除生検になる可能性があるでしょう。

必要に応じて全身の画像診断を行う

メラノーマと診断された場合には、画像診断の前に皮膚転移・リンパ節転移の有無のための全身皮膚所見および理学的全身診察を行います。そこで自覚症状や理学的診察所見があれば、その部分を重点的に画像検査を行うことができます。
しかし、自覚症状がないまたは診察所見でも転移を示す点がない場合は、目に見えない転移を調べるために全身のがん細胞の撮影を行う転移スクリーニング画像検査が実施されるでしょう。

必要に応じてセンチネルリンパ節生検を行う

メラノーマのがん細胞がリンパ管に入り込み、近隣のリンパ節群のなかで最初に到達するリンパ節をセンチネルリンパ節といいます。なお、メラノーマのがん細胞がリンパ節に転移する場合は、センチネルリンパ節に転移している可能性が高いです。
一方でセンチネルリンパ節に転移していなければ、高確率でほかのリンパ節への転移はないといえます。なお、特殊な放射性物質や色素を使って、病変からセンチネルリンパ節をみつけて検査に提出する方法をセンチネルリンパ節生検といいます。

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