パート先の同僚が「うちは貧乏だから、子どもには奨学金で進学してもらう」と言っていました。正直、それならもっと働いて学費を負担してあげたらと思うのですが、難しいものなのでしょうか…?

子どもの教育費の捻出は、多くの家庭で頭を悩ませる問題なのではないでしょうか。奨学金という方法もありますが、できる限り本人の負担が少ないように準備してあげたいと思う親も多いかもしれません。
 
本記事では、奨学金を前提にしているパート先の同僚に対し、疑問を持ったケースについて考えてみましょう。

【大前提】家庭の事情はそれぞれ異なる

まず話を進める前に大前提として確認しておきたいのは、「奨学金=親の無責任」ではないということです。パートではなく正社員で働けば年収が増える可能性は高いですが、その代わりに時間の縛りが大きくなり、仕事以外に割ける時間は減ってしまいます。

 

家族が家事に協力してくれない、育児介護が忙しいなどの理由がある場合には、それらの時間を優先して「パートのままで」と考える人も多いのではないでしょうか。体は1つしかないので、すべてを両立するのは難しいものです。

 

国税庁の2022年分の「民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均年収は458万円となっています。仮に配偶者がこの年収で、パートで働いている側の年収が100万円だった場合、世帯年収は約560万円で、手取りにすると460万円程です。ボーナス込みでの月々の手取りは約38万円であり、この状況であれば奨学金を視野に入れるのも理解できるのではないでしょうか。

 

奨学金を背負う重さも知っておこう

奨学金を利用して進学することは「悪」ではありません。むしろ、大学へ進学することで知識や経験をさらに積み、奨学金を超える年収を手に入れるなど、将来への投資になる人もたくさんいます。ただ、「奨学金=借金」であるということは肝に銘じておかなければなりません。

 

参考までに奨学金300万円の返済額を、日本学生支援機構が提供している、「奨学金貸与・返還シミュレーション」を使って計算してみましょう。利率は同じく日本学生支援機構の2023年度貸与利率一覧の「利率固定方式」を参考にして1%、返済期間は17年とした場合で試算すると、月々の返済額は1万6069円、返済総額は327万8076円になります。

 

「月1万6000円くらいなら」と思った人もいるかもしれませんが、社会に出たばかりの時期は給料もそれほど高くないことが一般的です。また、20代前半で社会に出たとすると、40歳頃までこの返済が続くのです。こうした点も考えてみる必要があります。

 

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